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作品名:お爺ちゃんと孫娘 作者:松韻萬里

第1回   雷様がヘソを取る
「ねえお爺ちゃん、凹んだモノってどうやって取るの?」
「うむむ?何のことかのう。」
「雷様だよ。おなか出して寝てると「カミナリさまにおヘソ取られるョ」って言うじゃない。」

 孫娘の陽菜ちゃんとお爺さん、二人の会話はいつもこんなフウに始まる。

「もし、雷様のお家におじゃましたとする・・・多分おヘソのコレクション見せてもらうことになるでしょ。でも、どんなモノが並ぶのか想像できない。」

「確かに凹みだけ取るのは無理、腹と一緒じゃなきゃの。「腹によってヘソの存在を知る」ってことか。」
「つまり、おヘソっていう「モノ」は存在しないんだ。・・・お腹のまんなかにある凹んだ「状態」を仮にヘソと称しているだけ。」

「凄いことのなってきおった・・・。その理屈だと、道に空いたマンホールも「モノ」でなく「状態」ていうことになるゾ。道路がないと存在し得ない空虚な状態。」

「マンホールには「蓋」という実態があるから違うよ。」
「ふむむ。じゃあ人間の口は?」
「口とは、口腔だけでなく、唇、ベロ、口の内壁、喉チンコなどの総称。・・・実態もあれば機能もある。」

「それに比べ、ヘソには実態も機能もない?ッテことか。」


          ****

「実はのう、わしは雷様と友達なんじゃ。・・・お宅におじゃましたとき、ヘソのコレクションも見たゾ。」

「えッ!どうだった?」
 目をマン丸にする陽菜ちゃん。

「全部が、出ベソじゃった!」

「ああそういうことか。」
 とても素直な陽菜ちゃんでした。


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