「ねえお爺ちゃん、凹んだモノってどうやって取るの?」 「うむむ?何のことかのう。」 「雷様だよ。おなか出して寝てると「カミナリさまにおヘソ取られるョ」って言うじゃない。」
孫娘の陽菜ちゃんとお爺さん、二人の会話はいつもこんなフウに始まる。
「もし、雷様のお家におじゃましたとする・・・多分おヘソのコレクション見せてもらうことになるでしょ。でも、どんなモノが並ぶのか想像できない。」
「確かに凹みだけ取るのは無理、腹と一緒じゃなきゃの。「腹によってヘソの存在を知る」ってことか。」 「つまり、おヘソっていう「モノ」は存在しないんだ。・・・お腹のまんなかにある凹んだ「状態」を仮にヘソと称しているだけ。」
「凄いことのなってきおった・・・。その理屈だと、道に空いたマンホールも「モノ」でなく「状態」ていうことになるゾ。道路がないと存在し得ない空虚な状態。」
「マンホールには「蓋」という実態があるから違うよ。」 「ふむむ。じゃあ人間の口は?」 「口とは、口腔だけでなく、唇、ベロ、口の内壁、喉チンコなどの総称。・・・実態もあれば機能もある。」
「それに比べ、ヘソには実態も機能もない?ッテことか。」
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「実はのう、わしは雷様と友達なんじゃ。・・・お宅におじゃましたとき、ヘソのコレクションも見たゾ。」
「えッ!どうだった?」 目をマン丸にする陽菜ちゃん。
「全部が、出ベソじゃった!」
「ああそういうことか。」 とても素直な陽菜ちゃんでした。
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