なんか鳴ってる、まぁモーニングコールだわな。 時計をみると八時だった。朝食は八時三十分からだから起きるにはちょうどいい時間だった。 相変わらずモーニングコールで言っていることは聞き取れない。今日もHelloと言ってすぐ受話器をおいた。最後だったから、Thank youぐらい言えばよかったかな?しかし、それは 言わなかったから思えることであって、実際は絶対言わない。言うものか、そんないい奴は俺ではない。いつもどおり歯を磨いていたら、顔の異変に気付いた。七個くらいブツブツがでていた。ニキビとも違う突起物が俺の顔にこんにちはしていた。原因は、部屋と環境の汚さだと思う。普段部屋はきれいな方な俺にとってマレーシアは獄牢みたいなものなのだ。きっとそのせいだろう。歯みがきが終わり荷物整理をしていると電話の横にGを発見。 最終日だからあいさつにきたの?そういうのやめよ。さよならは嫌いとかそういうんじゃなくて、Gと友情とか人間的にまずいから。 しかし、Gもいちをルームメイトにあたる存在である。 これが、人間だったら生きててよかったとか思っちゃうわ。 朝食の集合場所について他の班員を昇太と二人でまっていると、俺は拓に絡まれた。普段かあらわけのわからない拓は、本日も絶好調!海外旅行でグレードアップしたんじゃねぇの?超絶意味が分からんかったし、眠いのでテキトーに聞き流した。今日も、朝食はバイキングだ。てか、バイキングしかないんじゃないのここ。毎日悪い意味で、すごいものを作り出せることに敬意を示すかの如くまずそぉ〜に食べた。俺は食べられるものしか食べない。よって今日もクロワッサンと鶏肉かな?と思われる物体とチャーハンを食べた。今日の鶏肉かな?には肉球みたいな部位が入っていた。これ大丈夫? とか思いつつ腹にいれる。軽い断食なのれるぞ。金払って断食とか超儲かりそう。 文句言うんだったら別に食べなくてもいいんだからねっ☆とか美少女に言われても、あーそーですか、とかいってスルーできるレベルだわ。超レベル高い。 愛と勇気だけしか友達の居ないボッチ的なアンパンマンでも食べれないと思う。食べたら、中の餡子(あんこ)と大事なものをリバースしちゃう。 そんなことを考えながら無心で貪(むさぼ)った。あぁ日本食が恋しい。炊き立てじゃなく少しおいた固めの純白の白米、日本人が誇れる家庭料理「MISOSHIRU」東北人は味濃いのが好き。 いまならナスでもじゃんじゃん食べられそう。ちなみにナス大っ嫌い。臭い嗅ぐだけで頭痛くなる。 朝食が終わり部屋に戻るとすぐさま歯を磨いた。See youマレーシアの味。荷物を整理し部屋とGにさよならをした。こんなにうれしい「別れ」はあっていいものなのだろうか。 今はホームビジットでお世話になるハングリス村に向かっている。ちなみに、ホームビジットとはホームステイの短いやつのこと。 やはりバス内はGもいないし汚くないのでマレーシア内で一番居心地がいい。そして、また俺は寝る。やはり目が覚めると目的地についている。嫌そうにバスを降り整列する。集められたところは当然暑い。なんてどころの話じゃない、暑い。同じか(笑) そして、ハエが超元気に飛び回ってる。なんかあれだな、デパートに初めて来た子供みたいこいつら。うっとうしいったらありゃしない。 こっちの代表(隊長と和之)の流暢な英語でのスピーチが終わると、バスに戻り各班ごと各家庭へ配属された。俺の配属されたところはとにかく凄かった。入口にて、全員びちゃびちゃの床に敷いてあるものを踏む。こんな歓迎ありですか?俺らは靴下を脱ぎ入口に干してやった。金高二年なめんな(笑)変なとこで意地張る俺ら。 とりあえず部屋に入る。あまりというか絶対に無意味であるといわれてもいいエアコンがついていた。そんなことはぶっちゃけどうでもいい。ここ三日間厚さに関しては訓練を受けてきたからそれくらい我慢できる。そんなことを思いながらソファに座ると机に目がいく。蟻が縦横無尽に歩き回っていた。窓辺にはトカゲが二匹。あれれー?おかしいなー、来る家まちがった?ここムツゴロウ王国? 玄関から別のところから奥さんがやってきた。あぁこいつらペットか。いや、ちがうだろ! とりあえず家は間違っていなかったようだ。 どうやら奥さんは飲み物を持ってきてくれたらしい。コップにそれを注ぐ度にポタポタと垂れる容器の汗が俺は許せない。まぁ自分の部屋じゃないからいいか。 そして、それを俺らに配るとまた来た方へと戻る。最初にそれを飲んだ奴はこう言った。 「うわっ、ぜってこれ粉だべ」 俺以外は確かめるようにそれを飲む。 「これ粉だわ」 最後に俺はそれに舌をあてて味と温度を確認する。喉がそいつをこちらへよこすなと拒否った。 以上のことからこれは粉ジュースだと判明。そしてぬるい。こっちの文化では飲み物を冷やすという習慣がないらしい。レストランもどきにいったときもあっついヘクサンボ風味の紅茶が何度も何度も出された。猫舌の俺には罰ゲームみたいだった。 奥さんがやってきて、裏庭に連れてこられた。途中目の赤い兎が居た。バイオハザードかよ!そんな裏庭では悪魔の試食ショーが始まった。 なにやら、奥さんはドリアンらしきものを手に持っている。やっぱりあれはドリアンだ。 当然奥さんは「チャレンジ」といって僕らにそれの中身を差し出す。 あぁこれ断ってダメなやつね。奥さんもめちゃくちゃ笑顔輝いてんよ、断りずれぇよ。 結果断れず食べることになった。まずくさいし、見た目生の鶏肉だし。 いざ、口に入れるとなるとものすごい抵抗がある。しかし、入れなければ事は先に進まない。 覚悟を決め、ドリアン〜in俺の口の中〜 口の中では原発レベルのすごいことが起きていた。まず口に入れドリアンの臭いが口内を駆け巡った。次にここまできたら味まで確かめなければと軽く噛んでみる。もちゃっっといってそれっきり、俺の口の中にはない。なぜなら口外に出たからだ。正確には出した(笑) 奥さんすいません。でもこれほんとに食べモノなんですか? 奥さんは俺らに向かって「こっちのひとはみんな好きよ」的なことを言った。 そーですか。ですよね、でなきゃそこらにいっぱいドリアンの木があるのはおかしいですもん。 来た時からの謎が解けた。すっきりしたが、すっきりしない。ドリアンのせいで口の中はすごいことになっている。隊長と矢部君はげっぷまでもドリアン臭がすると笑っている。 するとキング牧師みたいな夫がやってきた。なにやらドリアンっぽい果物を持っている。目はそれをドリアンだと認識したがらない。キング牧師は、その手に持っている果物を割った。 いやそれドリアンじゃーん。あ、自分で食べるの?やだなーもうキング牧師ったら〜。 キング牧師は「チャレンジ」といって勧めてくる。 おめーらいい夫婦だな。なんかその優しさ痛い(泣) ここは笑顔で全員で言った。 「No thankyou」 なぜだろう、英語の時間は単語すらでてこないのに、こういうときは即答できる。 こうして試食ショーは幕を閉じた。 あぁ生きてるってなんだろ。最初の部屋に戻るとそればかり考えていた。 しばらくすると、奥さんがきて「昼食だぞー」みたいなこといった。ついて行ってみると、また鶏肉かな?が用意されていた、しかもひとかけらずつ。それと野菜炒め、卵焼きもどき。 ここ監獄?外国の監獄ってつらいのね、日本はここまで酷くなさそう。 ちなみにここは監獄ではない、一般家庭らしい。席につくと奥さんがタイ米を皿に浮上の手を添えて盛り始めた。浮上の手とは、こっちでいう汚い手。普段使わないと勉強したが、現地につくと普通に使っているのをちょくちょく見る。 米を盛る途中昇太が「浮上の手ごはん」と何度も繰り返すので、奥さんは感づいたのかわからないがそれをやめた。なんか、うちの昇太がすいません。なんていうわりに、俺は出された飲み物には手をつけず、持ってきたコーラを飲む。俺はあんなの飲み物だと認めない。 米を盛り終わると、さて楽しい食事の開始。ぜんぜん楽しくねぇー、気分悪くなってきた。 隊長とか矢部君は卵焼きをうまいといって食べるがぜんぜんおいしくない。と俺は思った。 ここでなら料理教室開けそう。 卵焼きは焼きすぎて、もはやスポンジみたいにっている。中に入っている玉ねぎてきな食材はなぜかビチャっとしている。入口思い出してしまうからやめろっ。俺の親でもこんな卵焼きはつくらないぞ。といいながらも、おかずがないと米が食えないので勇気をふりしぼり、覚悟を決めて口に運ぶ。なにこれ!うまぁ!!! なんて、蝉を食べたらクリームシチューの味がするなんて展開はリアルにはない。当然見た目通り、ボサットグチャッとした触感で、もう味がなんだかよくわからない。鶏肉かな?も、すごかった。ホテルのより辛くて、口に入れるとシナモンの味が大爆発を起こした。もうやだ(泣) 食事が終わると、過去を振り返れるまで俺の精神はやられていた。いろいろあったなぁ。 しばらくすると、教頭が登場。こんな乱入イベントはいやだ。教頭とのハッピーエンドフラグがたつなら死亡フラグを自ら進んで立てる。これ自立精神ってやつ? 教頭を混ぜ五人と蟻大勢とトカゲ二匹で会話を進める。奥さんとそのご家族は一切出てこない。 隊長がふとコップに目をやると、蟻が数匹泳いでいた。隊長に、水分とタンパク質(蟻)とらせてなにするつもり? 当然隊長は飲まない。外国人店員に日本語でもの頼む隊長でもさすがにそれは飲まない。 それはさておきこの家主のいない会話。どーしたものかと考えた。正しく言うとどうやって時間をつぶすか。結果、散歩することに決まった。 歩いている途中教頭は歩きたばこをやめない。それはほんとにどーでもいいからだれも話しかけない。歩いていると牛が三頭、ニワトリ数匹、硬直した猫一匹を発見。猫はひかれたのではないだろうか。みつけたのはそれだけではない。小学生くらいの子たちが普通に原付を乗り回していた。ニコニコしていた。手を振ると、まぶしいくらいの笑顔で手を振り返してくれた。なにこの乗ってるものと笑顔のギャップ。超複雑です。 かれこれ二十分くらい歩くと折り返し地点。またもと来た道を帰る。帰る途中牛と記念撮影。 二十分かけてもどるとまたあの忌々しい飲み物を出してきた。よほど喉が渇いていたのだろう。昇太は蟻ごと飲んだ。ナイスファイト! そんなことをしている内に時間は潰れていたようで松山先生が迎えに来た。 ようやく帰れる。いろんな意味で。 しかし、人生はそう甘くない。まだ観光は残っていた。プトラジャスクエアというところに行った。まぁ特になにもなかった。あー、拓が一緒に写真を撮ろうと外国人に誘われていた。 拓の顔も世界に通じたのだ。やったな!拓。 拓は、外国人の誘いを断りバスに戻る。俺もそれにつづく。次こそ帰れる。 バスは空港へと向かった。どうやら夕食は空港らしい。 また移動時間俺は睡眠に全力を尽くす。どうせ着いたら空港だ。 起きるとやっぱり空港。曜日感覚おかしくなんぞ。 夕食は中華料理だった。俺の座ったテーブルとは別のテーブルでは「くいざかりだから」と言われ皿にいっぱい不味い料理ばかり盛られている光景を目にした。 俺はあの「くいざかりだから」を知っている。あれは教頭の誕生日をレストランもどきで祝った日のことだった。ターンテーブルで回ってきたものを食べなければいけないという悶絶罰ゲームをしていたときの言葉だ。どうやら今回はターンテーブルではないので各自皿に盛りあう。ルールらしいな。そんな悍(おぞ)ましいゲームなんぞ知らん。俺は、普通に夕食をとった。 夕食も終わり、あとは七時間のフライトに耐え、七時間のバスツアーに耐えると学校だ。 最終自由時間も特になにもなかった。店の値段は市内の二倍。皆つかってないリンギットをつかいきろうと必死だ。俺はジュース二本買ってフライトに備えた。 自由時間も終わり、出国時の持ち検で全員ひっかかった。黒人検査員が俺ら&先生からジュースを奪うのだ。初めて追剥に合った。 検査員は「最後に飲むか?」みたいな事を言ってきた。NOと答えそこを突破。もう帰れればなんでもいいや。 飛行機に乗り込むといよいよ帰れるとワクワクしてきた。離陸すると、またもや機内食がきた。ごぼうとなんかのからい食べ物が俺の舌をだめにした。ロシアンルーレットたこやきみたいに辛かった。樹(いっつ)はオムライスの方を食べていたがそっちも悲惨そうだった。歯槽膿漏のようなトマトが入っていて、みただけで気分が悪くなった。トマト嫌いです。 機内食を食べ終わり、喉が渇き三回ほど飲み物をもらいもう一回飲み物を頼むとコップにではなく缶一つ渡された。ラッキ〜☆ しばらくするとみんな寝ていた。やっぱり来る時と違い疲れているだろう。ペプシが飲みきれずなかなか寝れない。たっつを起こしてペプシを譲り、俺はさっさと眠りについた。 起きると、まぶしかった。だいぶ気温も変わり、普通の人はすこし寒いくらい。俺はちょうどいいけど。着陸し、無事日本に帰国!いや〜、空気うまいわ。そしていろんな意味できれい。 入国審査を終えると、教頭が遅れてやってきた。パスポートを落としたらしい。入国がおわってかららしいので残念ながらバスに一緒に乗って帰るそうだ。残念。 バスにのり、うつらうつらとしているとなんとパスポートがみつかったとの噂が流れてきた。確認すると、バックのいつもと別のところへ入れたそうだ。残念。 途中、サービスエリアにより昼食をとった。柿穣が教頭に借りてたたばこを返していた。そしてまた借りていた。それ意味ねーじゃん・・・ 昼食も済ませバスにすぐ戻る。日本の11月は寒いのだ。ちなみに今半袖半ズボン。 残りの時間はなんとかねばっていたがやはり寝た。 目が覚めると、学校についていた。軍曹は行くときと同じく三席使って横になって寝ていた。 あぁ外国行って帰ってきたんだなぁ。あまり実感がなかった。 帰りは軍曹の母ちゃんが家まで乗せてってくれた。家に親はいた。来なかった理由を聞くと。途中までは迎えに行く気があったらしい。しかし途中で睡魔に負けたそうだ。なんて理不尽な親だ。部屋行くと、なつかしいような懐かしくないような微妙な感じだった。 荷物整理をしている途中、いつしかしおりを読み始めていた。最初五日間も!?って思っていたが帰ってきてみれば長かったとは思わない。実際そういうものだ。あの引退したくてしょうがなかった中学校の部活でさえ、引退の時にもうおわったの?と一瞬思ってしまうのだから、五日間なんてそんなものだ。批評の多い旅になったが、決してつまらなかったわけではない。でなければこんなに書くことができないからだ。行ってみたらそれなりに面白かった。いろいろあって大変だとかちょっとおもったが今じゃそれも「だった」に過ぎない。結果終わってみれば大体「おもしろかった」となる。まぁ今回は実際おもしろかったからそれでいい。しおりを読むだけでこんなに振り返ることができたことに自分でもびっくりした。 布団の上で読んでいたからか瞼が重くなってきた。いったいこの五日間どれだけねただろう。と考えている内にまた眠りにつく。
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