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作品名:怪奇高校生 作者:シン

第2回   2
あれから3日がたった。

いろいろ調べたが何も成功しなかった。

10通り…いや20通りくらいしただろうか?

呪いの解き方などをたくさん調べたが、何一つ成功せず、未だ奏は目を覚まさない…

今日も学校を休んで、家でパソコンと向き合っている。

「これを試してみるか…」

もう下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる。その数を沢山打っていくしかない…

今日行う方法の準備をしていると、部屋に2人の人が入ってきた。

蓮と竪葵だ。

「どう…?奏ちゃん起きた?」

俺は顔をあげる。

1つも成功していないから、もう俺は何も言えない…

「ごめん…まだ起きてない…何一つ成功してないんだ…」

3人が黙りこむ。

でも、こういうところで口を開くのはいつも蓮だ。

「まぁ、まだ4日ある。前向きに行こうぜ!大丈夫さ!」

蓮の声に少しだけ勇気づけられた。

蓮は空気が読めない馬鹿だけど、この前向きでポジティブなところに俺たちは何度も助けられているのかもしれない…

こういう奴が近くにいるだけで、少し気が和らぐ…

脳天気っていうか…なんというか…

「とにかく!今日は遊ぼうぜ!」

こういうとこだ。

「そうだね!ゲーセンいこゲーセン!」

俺は部屋を連れだされ、2人と一緒にゲーセンへ連れ込まれた。

時間も忘れて…遊びまくった…

最近はずっと寝ずに調べたり、探したりしていた。

今日ゲーセンに言ったのはとてもいいリフレッシュになった気がする。

でも、俺の頭の片隅にはあの部屋に横たわっていて、意識のないあの奏の姿が頭に浮かぶ…

一刻も早く治さないといけないのに…その方法がわからない…

「俺…絶対奏を助けるから…」

ゲーセンの帰りに俺は2人に告げる。

もうあの横たわっている姿なんて見たくない。

お前たちが悲しんでいる顔なんかも見たくない。

俺がはお前らと笑って、一緒に馬鹿やって…5人ではしゃぎたい…

1人がかけてもダメんだ…

「5人で今、この時を、この一瞬を楽しく…だもんな!」

蓮が笑ってそう言った。

3人の中で笑いがこみ上げてくる…

昔言い放ったこの言葉…今では少し恥ずかしいが、こういう状況だからこそ、恥じることなく言えるのかもしれない…

5人で今、この時を、この瞬間を楽しく。

そうだ…5人でだ。

ここで絶対に奏を失うわけにはいかない…

絶対に助ける。

帰り道、俺は強く強くそう思った。

* * *

蓮と竪葵と別れ、俺は家に帰っていた。

時刻は…午後9時頃。

俺は何かのヒントをつかめないかと思い、神社へ向かった。

神社はあの時のように静かで、誰もいなかった。

そう、誰も。

「あれ…?」

俺は1つの違和感を抱いた。

「霊のいる感じがしない…」

あの時と同じような感覚がしなかった。

時間が違うということも少しあるのだろうが、全く感じない。

「おかしいな…」

本当に何にもいない。いや…正確に言うと…いなくなっているだろうか?

階段に少し腰掛け、思考を巡らせた。

あの時と同じような感覚がしないということは、

誰かが幽霊を払ったのか、それとも何処か違う場所に行ってしまったのか、現れる時間帯があるのか…

この3つのどれかに当てはまるはず…

先ず、誰かが幽霊を払った…

……はぁ、そんな人がいたら俺だって苦労しない。

今すぐに出会って奏の呪いを解いて欲しいもんだ。

噂が流れたのが随分前だったから、噂が流れて、俺たちが肝試しに行ったのは大分時間が経っている。

怪我なんかしているんだったら、もう誰かがとっくに払っているはずだ。

それがないから…払うの線はないだろう…

じゃあ…時間か…?

確かに今は午後9時。

あの時は2時だった…

丑三つ時…幽霊が最も姿を表す時間…

「それを先に確かめないといけないかな…」

俺は時間を2時に合わせるため、一度家に帰った。

* * *

「ハァ…ハァ…」

家から走って…5分くらいか?

俺は神社についた。

鳥居の前にたつ。

…何も感じない。

何もいない…ということは時間の問題ではないということにもなる。

再び俺は階段に座って考える。

払った、もダメで、時間帯の問題でもない。

ということはもうひとつ。

何処か違う場所に行ってしまったか…

でも、そう考えるとしたら俺たちが肝試しに行った時から、もう3日が経っている…

「この3日に何かあったのか…」

クソッ…っと俺は近くの石を蹴った。

音が響き、静かな森を風が揺らす。

推測を何個もしていくに連れて、俺はもっと早く来ておけばよかったと後悔すらしてしまう…

風が少し強くなり、肌寒くなってきた。

月は太陽に照らされ輝き、星は自ら輝く。

・・・あれ?逆だっけ?

森が風で揺れ動き、音が大きくなった…その時。俺は気づいた。

「・・・逆、そうだ!逆だ!」

頭の中で思ったことを整理しながら自分なりの解釈を始める。

「そう…この3日間は月、幽霊に照らされてた…いなくなった理由がこの3日間だとずっと思っていた…でも自分から光を放っていたのは、奏…お前だったんだ…」

幽霊は奏の中。呪いそのものなんだ。

「じゃあ奏の中から幽霊を除霊できれば…」

『その呪いを解きたいか…?』

寒気…

俺の後ろに今まで無かった気配があった。

「…っ!」

フードをかぶっていて、顔が見えない

この感じは絶対に霊だ…

あの時とは違う、もっと強い力…

「誰だお前…」

フードの隙間から少し見える口元は不敵に笑っている。

『俺が見えるんだな?』

俺の心臓の音が大きくなっていく。

力が強い霊とはあってきたがこいつは全く違う…

ヤバイ…こいつから逃げる事をしないと…俺も確実に死んでしまう。

力が違いすぎる…

俺がどうこうという問題じゃない。

今更見えないなんて言えもしないか…

「見える…だから答えろ。お前は誰だ…?」

また笑う…

『東雲凪(しののめなぎ)高校生だ』

・・・は?どういうことだ?

東雲凪…?人間じゃねぇか!!

すると、こいつの霊だと思う感じが完全になくなっていた。

「いやーこっちになれば緊張もしないですむかな?しっかしあの姿が見えるのかーいいじゃん君〜気に入ったぞぉー」

あれ?何だこいつ?さっきと同じ人?言っている意味がわからない…

「本当に人間か!?俺と話した目的は何だ!」

フードを取り、さっきまで笑っていた顔を真剣な顔に変えた。

「君の家にいる女の子。4日前の出来事の話だ」


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