殺人事件の話題は学校でも持ちきりだ。
朝から全校集会も開かれ、帰りには十分注意するようにと全生徒に伝えられた。
いつものグループでも女の子がいるため、みんなで一緒に帰るということになった。
「起立、気を付け、礼」
生徒会長の号令とともに全校集会が終わり、みんなが疎らに自分の教室に戻っていく。
「よ!神ちゃん!」
後ろから押すように声をかけてきたのは堅葵の親友である、山口真奈だ。
「おう、どうしたんだ?」
俺が返事をすると、この間の堅葵の件の事だった。
「堅葵ちゃんのこと、本当にありがとうね。最初に相談を受けたんだけど、なにもできなくて…」
「そんな事ないぞ」
俺はそう言って真奈が顔がさがっているのがあがるのを待った。
「誰かに話すだけでも堅葵の気をよくしたはずだ。どうにかしようと頑張ったんだろ?それだけで十分だと思うぞ」
そう言うと、真奈は顔をうつむかせ笑っているように見えた。
「そっか…ありがとう」
と静かにつぶやいた。
俺は少し臭い事を言ったのかな…など思いながらも、いろいろ話をしているうちに教室に着いた。
「じゃあ、私はこれで!」
「おう、またな」
俺と真奈は教室の前で別れて、自分の教室に向かおうとした。
でも、その真奈と別れた数秒後、教室から異常なほどの変な臭いがした。
「うぅ…なんだこれ…」
俺は制服の裾を口と鼻に当たるように抑えて、異臭の原因を探した。
嗅ぐ事をこんなに嫌がるほどの臭いがこの世にあるのかどうかわからないくらいの異臭だ。
しかし、周りの人はそんな素振りは見せずに、普通の顔をしていて、この臭いがわかっていないらしい。
俺はこの異臭に耐える事が出来ずに、すぐにその教室を後にした。
* * *
「変な臭い??」
「あぁどんな臭いだったかな…」
放課後になり、部活をしている残りのメンバーを教室で待っているときに、俺は今日あった事を凪に話していた。
「臭いか…少し興味深いな…」
臭いというものは霊的にとても有力な情報らしく、その人にしか臭わない香りになると、さらに有力な情報になるのらしい。
例えば、「ここの道、少し変な臭いする」なんて言う人がいて、そこをしらべてみたら、人が死んでいたなんてことはよくある話だ。
「何組だ?」
凪がそう聞いてくるのを俺はよそうしており、すぐに「3組」と答えた。
凪はすぐに立ち上がり、3組の教室へと急ぐ。
…臭わない。
俺は3組に着いた瞬間そう呟いた。
凪はその言葉を聞き、少し考えるとまた意味のわからないことを言い出す。
「あの殺人事件と関係がある。犯人はこの教室の生徒か先生だ」
「は?意味わかんねぇよ」
俺は凪の言っていることがまったくりかいすることができずについ聞き返してしまう。
「1から話そう」
そういって凪は3組を後にして、自分の教室に戻る。
俺はその後に続いて、少し小走りでついていった。
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