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作品名:怪奇高校生 作者:シン

第13回   13
殺意というのは決して消えない。
憎めば憎むほど恐れは大きくなる。
殺す?殺してしまうか?殺そう。
犯罪の意識なんかとうの昔にない。
一度殺すとそれを繰り返す。
人は、簡単に、死ぬのだから。

* * *

覗きの事件も終わって数日が経つ。

その数日間で変わったことといえば、俺の能力について少し詳しくなったことだろうか?

俺、暁神威は霊力というものに遭遇して、数週間が経つ。

1つ目の能力は、霊の過去を見れる能力。

この能力によって、キーに取り憑かれた奏を助けることができた。

そしてもう一つ、霊力を無効にする能力だ。

この力によって、この前の覗きの犯人を捕まえることができた。

でも、使い方というのは俺にも完全にはわからない。

特に1つ目の能力。

そもそも…1つ目の能力は俺が生まれつき持っている能力らしく、2つ目の能力が後から身についたらしい。

2つ目の能力は大体わかってきたが、1つ目の能力は使える時が限られているらしく、その使える時を完全に把握していない。

能力の本当の意味を知る…その時はそう遠くないのかもしれない。

朝ごはんを食べながらそんなことを考えてしまう…悪い癖だ。

「神威!!急がないと遅れちゃう!!」

キーに急かされて素早くご飯を食べ終わる。

学校に行く支度をしながらテレビを消そうとする…

ちょうどその頃、最近の出来事一覧が流れていて、惜しくも時間がないため、全文は読むことはできなかったが、気になるニュースがあった。

「近くで殺人事件か…」

気をつけないとかな…など、そんなことを思い、テレビを消し、いつも通り凪の家へと向かった。

* * *

「この近くで殺人事件だってな」

「あ、凪も見たんだ」

登校中に凪と朝見た殺人事件の話をしていた。

本当に近くの出来事だったため、注意しないといけないと凪も思ったのだろう。

「そういえば…この道を右に曲がったところだよな?」

確かにそうだ。

登校に使っている道を右に曲がったところに現場がある。

本当に近くだということを再確認し、少し恐怖が大きくなる。

「見に行ってみるか…」

「それ、ただの野次馬ってやつじゃないのか?」

俺が少し冗談交じりでそう言うが、凪はその言葉にピクリともしない。

何か違うものを見ていて、いかにも真剣だ…

「俺は行くよ」

そう言うと、凪は俺と別れて、進路を右へと変更した。

俺は一瞬止まったが、凪のあの真剣な顔を見る限り、何かあるのだと思いついていくことにした…

路地を出ると、すぐさま沢山の人だかりが目に入ってきた。

キャスターや記者なども沢山いた。

その沢山の人だかりの中心は間違いなくあの殺人事件だ。

警察は捜査や聞き込みをしていて、黄色いテープで入れないようにしてあり、死体と思われるものには、綺麗にシートが被せられていた。

赤い血がそこら中にちび散っており、その血はちと思えないほど大量にあり、この事件の残酷さを物語っている。

更にシートが何個かあるため、死体がバラバラにされいている事がわかってしまった…

テレビでは詳しく見ていないため、あまりの酷さに驚きを隠せない。

「酷い…誰がこんな事を…」

「人間じゃないな…」

横を見ると、凪がそう話していた。

人間じゃないというとはどういう事か聞こうと思ったが、俺は大体予想はついていた。

でも、俺が気になったのはそこじゃない。

今、凪は何を追いかけているのかを聞きたい…

でも、それと同時に聞いてはいけないような気がした。

「帰りは気をつけろよ…この辺りはきけんだ」

俺は「ああ…」とだけ呟き、今聞こうとした言葉を飲み込んだ。

何と無くだが…本当に何と無くだが…俺はいずれわかる気がした。

そんな…気がしたんだ。


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