殺意というのは決して消えない。 憎めば憎むほど恐れは大きくなる。 殺す?殺してしまうか?殺そう。 犯罪の意識なんかとうの昔にない。 一度殺すとそれを繰り返す。 人は、簡単に、死ぬのだから。
* * *
覗きの事件も終わって数日が経つ。
その数日間で変わったことといえば、俺の能力について少し詳しくなったことだろうか?
俺、暁神威は霊力というものに遭遇して、数週間が経つ。
1つ目の能力は、霊の過去を見れる能力。
この能力によって、キーに取り憑かれた奏を助けることができた。
そしてもう一つ、霊力を無効にする能力だ。
この力によって、この前の覗きの犯人を捕まえることができた。
でも、使い方というのは俺にも完全にはわからない。
特に1つ目の能力。
そもそも…1つ目の能力は俺が生まれつき持っている能力らしく、2つ目の能力が後から身についたらしい。
2つ目の能力は大体わかってきたが、1つ目の能力は使える時が限られているらしく、その使える時を完全に把握していない。
能力の本当の意味を知る…その時はそう遠くないのかもしれない。
朝ごはんを食べながらそんなことを考えてしまう…悪い癖だ。
「神威!!急がないと遅れちゃう!!」
キーに急かされて素早くご飯を食べ終わる。
学校に行く支度をしながらテレビを消そうとする…
ちょうどその頃、最近の出来事一覧が流れていて、惜しくも時間がないため、全文は読むことはできなかったが、気になるニュースがあった。
「近くで殺人事件か…」
気をつけないとかな…など、そんなことを思い、テレビを消し、いつも通り凪の家へと向かった。
* * *
「この近くで殺人事件だってな」
「あ、凪も見たんだ」
登校中に凪と朝見た殺人事件の話をしていた。
本当に近くの出来事だったため、注意しないといけないと凪も思ったのだろう。
「そういえば…この道を右に曲がったところだよな?」
確かにそうだ。
登校に使っている道を右に曲がったところに現場がある。
本当に近くだということを再確認し、少し恐怖が大きくなる。
「見に行ってみるか…」
「それ、ただの野次馬ってやつじゃないのか?」
俺が少し冗談交じりでそう言うが、凪はその言葉にピクリともしない。
何か違うものを見ていて、いかにも真剣だ…
「俺は行くよ」
そう言うと、凪は俺と別れて、進路を右へと変更した。
俺は一瞬止まったが、凪のあの真剣な顔を見る限り、何かあるのだと思いついていくことにした…
路地を出ると、すぐさま沢山の人だかりが目に入ってきた。
キャスターや記者なども沢山いた。
その沢山の人だかりの中心は間違いなくあの殺人事件だ。
警察は捜査や聞き込みをしていて、黄色いテープで入れないようにしてあり、死体と思われるものには、綺麗にシートが被せられていた。
赤い血がそこら中にちび散っており、その血はちと思えないほど大量にあり、この事件の残酷さを物語っている。
更にシートが何個かあるため、死体がバラバラにされいている事がわかってしまった…
テレビでは詳しく見ていないため、あまりの酷さに驚きを隠せない。
「酷い…誰がこんな事を…」
「人間じゃないな…」
横を見ると、凪がそう話していた。
人間じゃないというとはどういう事か聞こうと思ったが、俺は大体予想はついていた。
でも、俺が気になったのはそこじゃない。
今、凪は何を追いかけているのかを聞きたい…
でも、それと同時に聞いてはいけないような気がした。
「帰りは気をつけろよ…この辺りはきけんだ」
俺は「ああ…」とだけ呟き、今聞こうとした言葉を飲み込んだ。
何と無くだが…本当に何と無くだが…俺はいずれわかる気がした。
そんな…気がしたんだ。
|
|