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作品名:怪奇高校生 作者:シン

第10回   10
「声は聞こえたけど、姿は見えなかった?」

キーから明日のことを聞いて俺は愕然とした。

凪の予想は半分あたり、半分ハズレというところか?

「じゃあ、凪とは違う能力ということか?」

凪も頷き、今の情報を整理しているということだろうか…

「でも声は聞いたんだろ?それだけで一歩は犯人に近づいたんじゃないのか?」

凪にそう話しても、首をかしげるだけ…

多分、相手の能力と性能を考えてこの出来事が反対に犯人を警戒させ、更に対策をしてくるのではないかと心配をしているのかもしれない。

それにキーは顔面を軽く殴ったと言っている。

透明人間なのに触れられたというこの恐怖はあいつを更に駆り立てて、対策をしてくるはずだ。

もうそうなったら捕まえるのはほぼ不可能なのじゃないのかと、俺は一抹の不安を抱える。

キーもそのことになんとなくだが気づいたらしく「そんな…」と声を出し、その場に泣き崩れる。

俺はその姿を見るととっさに少女の元へ駆け寄り、元気付けようと小さな体を強く抱きしめる。

俺の体の中で「怖かった…」となくだが少女を「あぁ、頑張ったな…」と勇気付ける。

その直後、予期せぬ出来事が起きた。

ポンっ…!
と、音をたて、キーが少女の姿をから、狐の姿に戻ったのだ。

「どうした?!」

と聞くが、狐は首をかしげる。

勿論、俺もびっくりだ。

すかさずキーは少女に戻り、またまた意味のわからない言葉を放つ。

「神威…何かした?」

俺の混乱は深まるばかり。

俺も何かをしたつもりはないし、キーが勝手に戻ったとしか思えない。

俺もキーも混乱の闇の淵にたどり着いた時、

「ちゃんと教えないといけないな…お前の力の全てを…」

と、凪が言い放ち、その続きを聞いた。

* * *

「定期テストの順位見に行こうぜ!」

先週テストだったため、廊下には順位が貼られている。

ウチの高校は一般でいう進学校で、頭のいい人が多い。

クラスは40人の7クラス。

掲示板には学年50位まで名前が載る。

つまり、280人中50位にならないとここには載れない。

言ってしまえば、頭のいい人しか載れない。

…ということは?

何かしらヒントがあるのかもしれないと思い、俺は凪の教室へと急いだ。

「凪!」

教室に向かい、その名前を呼ぶがもうすでにいない。

俺と同じことを考えているととっさに判断し、すぐさま掲示板へと向かった。

行ってみるとたくさんの人がいて、その中に紛れて凪がいるのが見えた。

「凪!」

再び、その名前を呼ぶと、俺が来るのをわかっていたかのように不敵な笑みを浮かべた。

掲示板の方を指差す凪に従ってけいじばんを見ると、そこには1位の人の名前が一瞬にして脳に入ってくる。

「濱根…尚和…?」

その名前の意味は、この学年で一番あたまのいい人…そういうことになる。

でも、その人が犯人だとは限らない…

そう思い、順々に見ていると、4位に凪、6位に俺を除いて、16位までは女子生徒の名前が並んでいた。

この時点で100%ではないが、濱根尚和が犯人ということで間違いないのだろう。

…とりあえず声だ。

濱根の声をキーに聞かせれば、更に確証は増す。

「キー、聞こえる?」

「何?」

キーはあの日から学校に来てもらっている。

犯人への一つの手がかり…その声を聞き分けるために。

「濱根を探す。声を聞いてくれ」

わかった。との声をきき、濱根のいるクラスに走って向かう。

確か、奏と同じクラスだったので、すぐに誰かというのはわかるはずだ。

クラスにつき、すぐさま奏を呼び、濱根が誰かを訪ねる。

いきなりの出来事に奏もびっくりしただろうが、すぐにことを察し、すんなりと教えてくれた。

窓側の一番後ろの席。

友達と話している。

笑い声でもいい、なんでもいいから何か聞こえればいいんだ…頼む。

俺とキーは耳を澄まして、聴覚に神経を集中させる。

「違う…声が…全然違う…」

俺はその言葉がキーから聞こえた時、俺は耳を疑った。そんなことはない…と。

そう思う反面、キーが嘘をつくはずもない。

だったら…本当に…?

そう信じたくないこの気持ちと、キーを信じないといけないという気持ちが俺の気持ちをぐしゃぐしゃにしていき、思考を捻じ曲げていった。


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