早朝、俺たちは準備をしていた。
みなみ「では、火をつけますね…」
俺たちはこの村を燃やすために、村中ににガソリンを撒いた。
白玖「待ってください…あいちゃんがまだ来てませんよ?」
俺がそう言うと、雅紀さんがすぐ反応をした。
雅紀「探しにいくか…?」
俺は彼女の本当の愛を知った。
これからは彼女と一緒に生きていこうと俺は決心した。
でも、その時俺の中でもう一度繰り返される彼女の言葉。
『ありがとう、大好きだったよ…』
白玖「過去形じゃねぇかよ…」
俺はもう走り出していた。
村の門から走って中に入っていく。
白玖「あいちゃん!!あいちゃん!!」
俺は叫んで彼女を探した。
この村に来て、生きる意味を俺に与えてくれた…
探し回っていると、村中から火がついた。
白玖「みなみさん!何で!?クッソ…」
それでも俺は探すのをやめなかった。
でも…見つからない…
白玖「あいちゃん!何処にいるの!?あいちゃん!!」
周りの火が大きくなっている中、俺はずっと声を張って探しまわっていた。
すると、あいちゃんの家の前で倒れているのを俺は見逃さなかった。
白玖「あいちゃん!!」
俺は彼女を大声で呼んだ。
あい「白玖くん…何でここに?」
もう彼女は起き上がる気力さえないみたいだった。
白玖「早く逃げないと!火が…みなみさんが勝手に…」
あい「違うの!」
彼女は俺に負けないくらいの大きな声を出して俺に伝えた。
あい「私が火はつけたの…」
火を・・・?
なんで?なんであいちゃんがつけたの?
俺は余計にわけがわからなくなってしまった。
聞こうとした時に、彼女は言った。
あい「私の罪を…自分で償おうって…」
人狼という役割を受けた自分が死ぬことによって、罪を償おうだなんて…
そんな…
白玖「なんで!?一緒に暮らそうって…言ったじゃん!一緒に行こう!」
あい「ダメなの…もう私もこの村も全部無くなる…早く行って…逃げないと白玖くんも死んじゃう…」
白玖「じゃあ…なんであいちゃんは逃げようとしないんだ…」
俺はもうどうすることもできなくなり、ただ突っ立ているだけであった。
あい「これが私の償い方なの…」
償い方…
俺はその言葉を…
白玖「それが…あいちゃんの望み…?」
彼女は頷く。いや、俺が頷いたように見えただけなのかもしれないが…
あの時、彼女が言った過去形の言葉には重い意味があった。
それがこれなんだな…
白玖「あいちゃん…別れるのは寂しいよ…」
俺は泣いていた…でも、今は笑っていようと思った。
あいちゃんがそれを望んでいるのなら俺が何かを言うこともない…
それなら少しでも楽に…
白玖「愛してる。大好きだ!」
俺の声は火が燃えている中、空気を振動し、彼女の鼓膜を震わせた。
あい「それだけ聞けてよかった…」
その後の記憶は殆ど無い…
気づいたらみなみさんと雅紀さんとバスに乗って揺られていた。
あぁ…火が見える…
なにもかもが燃えているだろう…
でも、俺は何も後悔はしていない。
だって…彼女は俺の中で永遠に生き続けているのだから…
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