『追放会議を行う』
その言葉に俺は困惑した。
この村から追放?そんなの・・・ありえるのか?
でも殺人者を追放しないと俺達が死んでしまう。
これは行わなければならない会議なんだ・・・
俺は集会所に向かう途中、このようなことを考えていた。
誰もが怪しい・・・誰もが殺人者だとも考えられる。
明日俺が死ぬかもしれない、そう思うと俺は震えが止まらなかった。
「じゃあ今から追放会議を行う。それぞれに意見してもらうから覚悟しておくように」
この会議の方法はこうだ。
まず、初めに怪しい人をみんなで投票し、その人が最重要人物として会議が進まれる。
その話し合いの結果を元にみんながまた投票をし、一番多かった人を追放する・・・
という方法だ。
「さぁ始めよう。第一次投票を行う。みんなリストが回ってきたら投票をしてくれ」
俊介さんの声でみんなが静かになった。
リストを見てみると、その中には全員の名前が事細かに書かれていた。
全員で17人。
まずは俺。神田白玖(かんだはく) この事件の第二発見者である。 この村には入ってきたばかりでまだ住人の名前すらも覚えきれていない。
荒木俊介(あらきしゅんすけ)さん。 この村の村長だ。20代前半 男性 俺と同い年だと思う。ちなみに俺は23歳
朝倉あい(あさくらあい)ちゃん。女性 俺に初めて話しかけてくれた人だ。この村の会計係。
新垣朋香(あらがきともか)さん まだ小さく、幼い女の子だ。 12歳くらいと思われる。小さいからか、俺を避けているように も見える。
新垣明日香(あらがきあすか)さん、女性 朋香ちゃんのお母さんに当たる人だ。 とてもやさしく、朋香ちゃん想いの良いお母さんだ。
相田みなみ(あいだみなみ)さん。女性 背が高く、機械に強い。この村の機械修理担当だろう。 よく背中などを思いっ切り叩いてくる・・・あれは痛い・・・
緋華勇気(ひばなしゆうき)さん。男性。 この村の出荷担当。そして事件の被害者である。
佐野雅紀(さのまさき)さん。男性。 気が強くとても頑固な性格をしている。多分一番年齢が高いので あろう。コンピュータの制御担当だ。俊介さんとよく話している のを見かける。
飯塚悟志(いいずかさとし)さん。男性。 怖い。現代の若者、ヤンキー 以上。
舞月あやね(まいづきあやね)さん。女性 事件の第一発見者。人に思いやりがとてつもない人だと思う。 まさに、大人の女性なのだろう。
不二湊(ふじみなと)さん。男性 俺が一番苦手なタイプだ。無愛想で、無口。 それでもプログラミングの技術はピカイチだ。
朽木まな(くちきまな)さん。女性 この人は・・・すごい筋肉質な人だ。 とっても強そう。元軍隊らしい。
内籐旭姫(ないとうあさひ)さん。男性 よくひとりごとを言っている人だ。 ブツブツよくわからないことを・・・ でも、機械にはとっても強い。
中村楽空(なかむららくう)さん。女性 ギャルというのか・・・なんかファッションがすごい。 この人も現代の若者と言っていいのだろうか?
酒田俊(さかたすぐる)さん。男性 この村のコンピュータ制御担当。プログラミングはそこまで得意 ではないらしいが、担当は制御担当になっている。とても気が弱 い男性だ。
亜月める(あずきめる)さん。女性 この人も俺に話しかけてきたっけ? 少しだけダンボールから物を出すのを手伝ってもらった。 優しくて、結構いい人だと思う。
椎名りんご(しいなりんご)さん。女性 この村の門番担当。この人が一番犯人はこの村の中にいるという ことがわかっているだろう。
ざっとこんなもんだ。 俺を合わせて全員で17人。
この中に犯人はかならずいる・・・
(次の話からは登場人物がかなり増えます。なので、誰が話しているかわかりやすいように、カギ括弧の前に名前を書くことにします 例:白玖「こんにちは」)
俊介「じゃあ開票するぞ」
俊介さんはそう言うと、投票用紙がたくさん入った箱の中から一枚ずつ出していき、開票をしていった。
俊介「一番多かったのは、神田白玖。お前だ」
え?なんで俺?? いきなりの宣告に俺は戸惑う。
白玖「な・・・なんで俺なんですか!?」
俊介「まぁまて。それを今から話し合うんだ」
悟志「俺は賛成だぜ。最初から怪しいと思ってたんだ」
何を言っているんだ?俺なわけ無いだろ・・・? それは俺が一番わかっているのに・・・
あやね「あなただったのね!!ありえない!私と一緒に勇気さんの家に行ったのも、怪しまれないようにするためだったのね!?」
白玖「ちがう・・・俺は・・・」
ダメだ、頭が真っ白だ。俺以外は全員敵。
みんなの方向からは 最低、死んでしまえ、どうせみんなを殺してお金が欲しかったんだろ。
などの声が聞こえてくる。
殺人者じゃないのに、責められる・・・・ 今、殺人者はどんな気持ちなのだろうか?
ラッキー、あいつ出て行け。とでも思っているのだろうか?
初めの投票は一番大事なんだな・・・この投票で怪しい人物がしぼられる。
悟志「いや。この際、追放じゃなくて死刑でいいんじゃないか?」
この言葉にみんなの動揺は隠せなかった。
俊介「な・・・何言ってるんだ!?」
悟志「だって、人を殺してるんだぜ?処刑されて当たり前のことをしているんだ」
俊介「でも・・・それをしたら殺人者と同じことをしているんだぞ?」
悟志「もうそんなの関係ねぇよ。ここにいる時点で、半分犯人扱いされてるんだからな」
飯塚さんの言葉で沈黙になった。
その中、俺をかばってくれる人がいた。
あい「私は白玖くんじゃないと思うんだ」
俊介「・・・その根拠は?」
あい「だって、昨日はずっと引っ越しの片づけをしていたんだよ。殺しに行けるなんて到底思えない」
める「それ!私手伝いに行ったから知ってるよ〜」
俊介「本当か?白玖」
白玖「本当です・・・俺は白です・・・何もやってない!」
悟志「それがまた怪しいって言ってるんだよ!!!」
あい「やめてください!白玖くんじゃない!絶対に違う!私は白玖くんを信じる」
あいちゃんの目からは涙が流れていた。
楽空さんが傍に行き、慰めていた。
周りからはどよめきの声が聞こえてきた。
俊介「これじゃ会議が進みませんね。もういいでしょう。これから再び投票を行います」
悟志「またかよ!いい加減しろよ。もう白玖だって決まったんだろ?!」
俊介「そうとはまだ決まっていません。まだ言葉を発してしてない人をいるでしょう」
俊介さんは全員と目を見合わせる。
そこで口を開いたのは佐野さんだった
雅紀「俺は白玖じゃないと思うぜ。怪しいのはさっきからごちゃごちゃ言ってるお前だ。悟志」
悟志「はぁ!?なんで俺なんだよ!お前馬鹿なのか?!」
雅紀「馬鹿かもな。でもお前の反応が、絶対白玖を犯人にしようと言う発言が逆効果だったみたいだな」
悟志「ちょ・・まてよ?俺じゃないぜ?おい・・・」
雅紀「急に静かになったな。やっぱり図星だったっけわけか」
悟志さんは黙り込んだ。何も言い返せないんだ。
雅紀「はい〜お前殺人者決定」
数秒の沈黙。
こんなに早く決着がついてしまうなんて・・・
確かに怪しいのは確かだ。
投票の結果に頼りすぎ・・・
それに俺を絶対に犯人にしようという考えを絶対に曲げないところがいかにも怪しかった。
その沈黙の中、最初に言葉を発したのは思いもよらない人だった。
旭姫「はい・・・発言いいですか?」
手を挙げて発言をしようとした旭姫さんに俊介さんは慌てて返事を返す。
俊介「・・・はい、旭姫さん。どうぞ」
その旭姫さんが放った言葉は俺達をもっともっと深い闇へと引き釣りこんだ。
旭姫「僕。死んだ人が殺人者かどうかわかるんです」
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