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作品名:人のフリして人の不理 作者:シン

第29回   29
「あ〜あ…あっけなく捕まっちゃったな…」

今は、最高中央警察署の中。

俺たちは2人同じ牢屋に入れられた。

「自分らの力を深読みしすぎたんだ。だからあんな簡単なトラップに引っかかったんだ」

この人は頭がいい…だけどその使い方を間違った方向に使ったんだ…残念でならない…

「刑は何年でしたか…?俺は5年で…」

詐欺で奪ったお金3億7千万。それで俺は5年の刑を食らった。

まぁ、俺が詐欺をしたわけでもないが…

でもそれくらいの刑は当然だろう…

罪は償わないといけない…

俊介さんは人を殺している。

だから、俺よりも長いと思っていた。

「・・・65年だ」

65年…その多さが俺にはよくわかった。

「何で!?そんなに重い刑が…!」

俊介さんは首を振った

「しょうがないんだ…2人殺したのにくわえて、逃げるときに警官を2人殺してるんだ…」

殺した?逃げるためには必要だったという。

「でも…でも…」

俺は何と何が現実で、何と何が嘘なのかがわからなくなってしまった。

65年という長い時間ここにいないといけない…

そう思うと、俺は死んだほうがマシだと思った。

「65年なんてあっという間だよ…楽勝!」

笑顔で言ったその言葉の裏には罪を犯した俺自信が悪く、この65年間で罪を償おうという本心が見えた気がした。

親を殺し、捕まり。

そして脱獄をして、3億を詐欺で取り、警官を2人殺し、また捕まる…

その罪を65年で償おうとしてるんだ…

俺の口出しすることじゃない…

そんな戦いが俊介さんの中でおきてるんだ…

「そうですね…絶対に自殺なんてしないでくださいね…俺、待ってますから!」

そう言って笑った直後に夕食のチャイムがなった。

この時だけ牢屋から出ることができ、食堂でご飯をたべることになっている。

そして自由時間が設けられ、また牢屋へと戻される。

午後6時から、約4時間

朝も6時から4時間。ということらしく、1日2食だ。

食堂では他愛もない会話を皆がしていた。

約2万人の囚人がここにはいた。

そして、1年…2年…3年…4年と月日が経っていった。

俺は経っていく時間に比例して、人との交流を増やして、いろいろ中のいい人が増えていった。

めるさんや、悟志さん。新垣さん、湊さんといった、いろいろな人と仲良くした。

9月19日…

俺が外に出される4日前、牢屋に帰るときに、俺は俊介さんと警官が話しているところに遭遇した。

俺は壁に隠れて、その話をきいていた。

「この役割をしてくれたら、9月23日に出してやるぞ?」

警官がそういうことを言った。

途中から聞いていた俺にはよくわからなかったが、9月23日になって俊介さんは話してくれた・・・


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