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作品名:人のフリして人の不理 作者:シン

第27回   詐欺
「俺は親を殺した」

その言葉を聞いたのは、俺がこの小屋に来て一週間の事

だった。

* * *

何で俊介さんはこんなにもお金を稼いで来れるのか…

俺はその秘密を知りたくなっていった…

でも、それを聞いていいのかわからずじまいで、未だに

聞けずにいた。

1日に100万なんてお金を持って帰ってくるんだ…

どんなことをして稼いでいるのか、俺には想像つかなかった…

そのお陰でもあるが、俺は生かされている。

それに、この人は俺が同じのようなことを言っていた。

なぜそう思ったのかも、俺は知りたかった…

が、同時に聞いてはならないと思っていた。

お金の出処…そして俺との同意性…

この2つはいずれ聞かないといけない…

そうしないと、何故か俺が俺じゃない気がしてならなかった…

「どうした?手が止まってるぞ?」

俊介さんが俺の動きに気づいた…

俺は悟られないよう、適当に流した。

「なんかわかんないけど、何でも聞いていいんだからな…?」

・・・今

今聞くべきなのか?

今なら話してくれるかもしれない…

俺はそう思い、続いて発言をしようと口を開いた。

「質問していいですか?」

俺がそう言うと、彼はどうぞ、と笑った。

「その沢山のお金は、何処で稼いでいるのですか?」

沈黙…静かな沈黙…

暗くなる。俊介さんは黙り込んだ。

その後、ニッコリと笑い

「詐欺してるんだよ」

さぎ・・・?

「なんでそんなことをしてるんですか?」

俺はつい感情的になってしまい、少し大きな声を出してしまった。

「親が死んだから…そうするしかなかった」

「誰にですか?」

その後の衝撃の言葉に、俺は鳥肌をたたせてしまった…

「俺が殺した。邪魔だったから」

俺が…?

彼は笑顔をやめなかった。

その笑顔の裏には暗いもう一人の俊介さんが見えた…

俺の鼓動が爆発的に早くなる。

殺人者が目の前に…そう思うだけで、俺の緊張は高まっ

ていった。

「死体は見つかって、俺は捕まったんだ。でも脱獄して

きた…そして、簡単に稼げる方法。詐欺をしだした」

殺人犯…そして脱獄犯であった…

俺はその話を、黙って聞いていた。

「まぁいいじゃん?昔のことだから今は気にせずに!」

また笑顔…

そう言って彼は笑顔をやめないままに、次の詐欺のため

の準備をしていた。

「じゃあ行ってくるね。お金をもらいに…」

家を出て行った彼を俺はただ立って傍観しているだけだった。

笑顔の裏のもう一人の俊介さん…

それにはなにかどでかい悪があると思った…

「なんか…聞いたのはいいもののすごく疲れた…」

俺は椅子に座り、ため息をついた。

その直後、いすの足が折れて、俺は地面に叩きつけられた。

「くっそ…最悪だ…」

心の揺れが全ての揺れになっているのだろう…

「あの人は一体何なんだろう…」

俺はそう思うたびに、不信感に囚われていった。

10分、20分、30分…

俺は床に座りボーっとしていた。

帰ってこない…俊介さんが帰ってこない…

いつもは20分くらいで帰ってくるのに…

俺は嫌な予感が全身襲い、じっとしては居られなかった。

あんなことを言われた直後だ…

詐欺容疑で捕まっているのかもしれない…

俺はそんな憶測を勝手に進め、妙な感情が消えなかった。

そして、町へ繰り出した。


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