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作品名:人のフリして人の不理 作者:シン

第25回   25
「柚莉愛…ごめんな…」

「お兄ちゃん…なんで?」

「こうするしかなかったんだ…許してくれ…」

「・・・そんな・・・・・」

「あぁ、さようなら…またいつか」

* * *

みなみ「じゃあ、会議をしましょう」

俺は人狼になってしまった。

人を殺してしまった。

人を殺すことの罪悪感により、鋼鉄のオリに閉じ込められている気がした。

でも、あいちゃんと勝つためには仕方なかったんだ…許してくれ…

今日死んだのは、俺が殺した柚莉愛と、酒田さんだった。

人狼がまだいたというわけだ。

ここで誰を追い詰めればいいんだ?

俺は皆を見渡す…

・・・旭姫さんか…俺はずっと怪しいと思っていたんだ。

この人を殺せば、全てが終わるかもしれない…

殺したい、この人を…

何の確証もないが、俺がこの人を殺せば全てが終わるかもしれない、そんな錯覚に俺は襲われていた。

『殺す、殺す殺すころすコロスコロスコロスコロス…』

俺の標的は旭姫さんに変わっていった。

あやね「もうわからなくなってきたね…しかも人狼が2人いて、同時に殺し始めたってことだよね?」

とっさのあやねさんの言葉に俺はマヌケな声を出してしまった。

雅紀「でも、まだ2人いるんだろ…?じゃあ俺達はこのまま殺されて終わってしまうのかな…」

そんなことなら…と俺は1つの考えが浮かんだ。

そう、殺される前に殺してしまうということ

俺は人狼を殺したい

俺の仲間を殺した人狼が憎い…

できたら俺の手で…この俺が殺したい。

だからこんな会議で誰かが死ぬのを防がなければならない。

つまり、同票にすること

同票にすれば会議で死ぬことはない

だから人狼も死なない…

でも、どうしたら…

白玖「俺・・・」

何か言いたそうに言っただけ…

ひらめいたわけでもない…とりあえず、この会議を長引かせようとした。

白玖「俺、皆のことをもっと知りたい…こんなに短くて、少ない時間だったけど…会えてよかったと思うから」

相田さんがもっともらしい顔をして言った。

みなみ「そうよね…私たちはあんまりお互いの事知らなかったわね…」

沈黙が長引く…

俺の昔の話なんか全く話していないし、みんなの話も聞いていない。

でも、何かしら俺たちはどこか似ている気がする…何かが…

根拠はない…でも…

旭姫「白玖は気づいたかな…」

そう言ってきたのは旭姫さんだった。

あい「何を気づいたの?白玖くん・・・」

あいちゃんの問に俺は答えた…

白玖「俺たちはどこか似ている…そんな気がするんだ…それに、どこかで会っている気がする…根拠はないんだが…」

拍手の音。それに驚き、俺はその音の方向を凝視する。

旭姫「正解。そうです。俺たちは似たもの同士なんです、そして俺たちは一度会っているんです」

それに続いて、旭姫さんは続ける。

旭姫「話しましょう。この村ができた理由を・・・」


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