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作品名:人のフリして人の不理 作者:シン

第23回   23
何が何でも俺の力で勝ちたかった。

嘘に嘘を重ねて、楽空さんを殺した。

俺が直接殺したわけじゃないが、皆の投票によって死んだ。

俺が誘導した。

嘘を巧みに使って…

人狼と疑わせるだけで死んでしまう。

簡単だ。みんな優秀なんだから

俺と同じようなことを思っていた人も多かったらしい。

あい「今日のは強引過ぎたんじゃないかな?」

楽空さんを人狼に仕立てあげた。

半ば強引に…

俺はただ単にもっともらしい理由をつけて、言っただけ…

その程度でいいのだ…

皆は理由に惑われやすい…

それがわかっただけでも俺は十分やりやすくなった。

白玖「そうでもないと思う、大丈夫だ」

俺達は今家にいた。

あいちゃんと2人

あやねさんは俺の意見に反対をした、だから排除した。

あの人はいらない。いないでも勝つことができる。

俺はそう自分を信じていた。

あい「まぁそうかな…うーん、白玖くんが良いんだったら…」

まだ何かいいたげな表情をあいちゃんは見せた。

俺はその表情が気に食わなかった。

白玖「あ?何その顔?何か言いたいの?」

あい「いや…そういうわけじゃないけど…」

そういうわけ?どういうこと?

意味がわからない。調子にのるなよ…

白玖「そういう訳ってなんだよ?殺すぞ?」

俺の発した言葉にあいちゃんは少しの驚きを見せる。

あい「最近、何か可笑しいよ?どうしたの?」

可笑しい?
なんだよこいつ…いいかげんにしろ…

白玖「何も変わってねぇよ。お前が諦めるなとか言うから諦めなかっただけ、ふざけるのも大概にしろよ。俺は俺のために生きてるんだ。俺がそう望んでるんだ。もう他人なんか関係ない…」

あい「関係あるよ!!!」

いきなり怒鳴られた俺は少し肩を揺らした。

あいちゃんの目には涙があった

あい「死んで欲しくないんだよ…それに私の投票なんかで白玖くんが死ぬなんて、私が耐えれない…」

息継ぎ…あいちゃんが続ける

あい「関係ありありだよ!私、白玖くんに付いて行きたいって思ったよ、ついてくるならご勝手にって言ったから、ついてきたけど…その言い方はあんまりだよ…」

俺は、もうあいちゃんを見れなかった。

そっぽを向いた俺に抱きついてきた、あいちゃんの涙ぐんだ声を今でも俺は忘れていない…

あい「行かないでよ…いっちゃ嫌だよ…もう私…」

『大好きなんだから』

俺の頭に流れてくるその言葉を何度でもリピートしていた。

俺の鼓動が大きくなっていく…

いきなりの告白に俺は対応しきれなかった。

泣きじゃくる彼女を見て、俺は自分が間違っているということをわからされた。

あいちゃんの方を向き、彼女を抱きしめる

あい「好きだから、離れたくなくって…一緒に生きたくて、………」

俺はあいちゃんの口を塞ぎ、その後の言葉は聞かなかった。

白玖「もう言わないでも分かるよ…ごめんね。俺知らないうちに変わってたのかもしれない…」

あいちゃんは俺の胸の中で涙を拭っていた。

あい「うん…わかってくれてありがとう」

もう一度強く、強く抱き

俺達はもう一度、唇を重ねた。


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