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作品名:人のフリして人の不理 作者:シン

第22回   信頼と信用
信用・・・信じて任用すること

信頼・・・信じて頼ること

俺がしていたのは信用だ。

その人の能力を自分が勝つための道具にしか利用していなかった。

信用しかしていなかった…だからこんな不都合なことが起きればもう何が何だからわからなくなるのだ…

あい「白玖くん!!」

いきなり発せられたあいちゃんの声に俺は驚き、我に返った。

白玖「いきなり大きな声を出してどうしたんだ…?もう俺はつかれた…」

やめてくれ…俺はもうこのゲームはしたくない…

あい「どうしたのさ!勝ちたくないの!?」

会議中、ヒソヒソ声で言われていた俺は無力無心だった。

もう誰も信じれない、信じたくないんだ。

白玖「この会議で俺は死にたい…あいちゃん、俺に投票してくれ」

あぁもう死にたいんだ…

あい「何いってんの!?ここで死んだら勝てるものも勝てないでしょ!?」

白玖「どうせ勝てない…」

こういうことを言うのは初めてだ。

まぁこれだけ言ってるんだ、あいちゃんも愛想をつかして、俺に投票してくれることだろう…

あい「じゃあ、自分だけを信じて行こ?私はそれについていくだけでいいからさ…」

俺はあいちゃんに言われ、今2つの選択肢しかないと悟った。

1つはここで死ぬこと。

ゲームクリアを放棄し、人生というゲームからもやめてしまうこと。

そして2つ目は俺だけを信じ、俺だけの力で勝つということ。

でも…俺だけの力でどうにかなる問題じゃない。

いや…だが…

俺は目を閉じ、想い出した。

いままで死んでいった人たちの顔を…

想えば想い返すほど俺の浅はかな考えが馬鹿らしく見えてくる…

「頑張れ!」「あきらめるなよ!」「もう少しだよ!」

など、1人1人が俺にエールを送ってくれている。

この人達は死にたくて死んだわけじゃない…

なのに、生きることを許されている俺がこんなところで死んでたまるか…

俺は1つの夢を見せられていたのかもしれない…

最後の声、その声には聞き覚えがあった。

『負けるなよ』

その声が聞こえたとともに、俺は目を開けた。

あい「大丈夫?」

そう…最後に聞こえた声はあの時の夢の声…

もう一人の俺。

俺はもう見抜いていたんだ。

自分自身の弱さを、どうしようもない俺の心を。

死んだ人に会わせてくれた。

俺にもう一度生きる意味、勝たないといけないと思わせてくれた

いや…もう信じれるのは俺しかいない。

白玖「俺は俺の道を行くよ…死ぬわけにはいかないからな…」

俺はもう1人の俺に向かい…言い放った。

あい「大丈夫?!」

あいちゃんの口調が少し強くなり、必死なのがわかった。

が、俺は冷静も冷静。静かに答えた。

白玖「俺は俺のために生きるよ。ついてくるならご勝手に…」

あい「うん!それでもいい!!」

俺はもうチームワークなんて・・・

すてた。


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