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作品名:人のフリして人の不理 作者:シン

第21回   疑心
白玖「楽空さんを占って欲しい…」

いろいろなことを凛恋に話し、俺達の仲間に一時であるが仲間になってくれた。

俺のお願いも凛恋は素直に聞いてくれた。

次の朝になると、全てが分かる…

楽空さんが人狼か市民か…それさえわかれば追い詰めることなんて簡単だった。

不敵な笑みが俺の心底から膨れ上がってくる。

勝った…俺の勝ちだ…

俺はなんでかは分からないが、楽空さんが確実に人狼の気がしてならなかった。

ロジックや、理論なんてものじゃない…

単なる、勘。

そんなことで決めていいものではないが、死んでしまえばこっちのものだと思っていた。

…死の恐怖を知っている俺はそこにはいなかった

仲間が死んでしまう悲しみを知っている俺もそこにはいなかった。

いるのは…ただ単に勝ちに欲望的になっている…

勝った気で調子に乗っている、そんな俺がいた。

こんなことで勝った気になって…

でもまさか、死んでしまうとは…思っていなかったのだから…

* * *

相田「会議を初めさせていただきますね」

今でも変わらず、会議は続いている。

そう…凛恋は昨日の晩に殺された。

きっと楽空さんを占ってくれたのだろうが…

俺に伝える前に、人狼に殺されてしまった

占い師が殺されるのは当然だが…タイミングがタイミングだ…

俺はあやねさんとあいちゃんを疑わざるを得なかった。

疑ってはならない2人なのに…

でも疑うしか俺にはできなかった。

2人しか凛恋と仲間になったことを知らない。

ということは…楽空さんは本当の人狼なのか?

凛恋に占われる事によって、人狼だとバレてしまうから、俺が聞く前に殺した…?

いや…偶然だという可能性だってある…

前者は単なる俺の欲望。

楽空さんが人狼だったらいいなという考えだ。

もうやめよう…1から考えなおそう…

俺はいろいろなことに囚われすぎた…

今からの新情報によって全部を決めよう…

そう思いながら、進んでいく会議を眺めていた。

あい「大丈夫?ボーってしてるけど…?」

会議を眺めていると、あいちゃんが声をかけてきた。

俺は多少の戸惑いを見せたが、大丈夫だよと言って、会議をさっきよりもぼんやりと眺めていた。

ぼんやりしすぎたのだろうか

考えることもせずに、俺は旭姫さんが言ったことで、思考の渦を逆回転させ、2人への疑いを深めてしまう。

旭姫「颯人さんは人狼でしたよ。白玖さんの主張とは少し違うようですが、人狼を殺せてよかったでしょう」

・・・颯人が人狼…?

そんなことはない…

俺が信じていたあやねさんは人間だと…

真実はわからない。

信じるべきはあやねさんだと思っていたが、信じることはできなかった。

ただ座っているだけだった…



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