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作品名:人のフリして人の不理 作者:シン

第2回   始まりの犠牲者
「おはようございます」

俺は集会所に行く際に、舞月あやね(まいづきあやね)さんに出会った。

「おはよう。白玖さん」

「え〜っと・・・まだ名前を覚えていなくて・・・」

「舞月あやねよ。よろしく」

すごく大人っぽい人だ。振る舞い方も、話し方も・・・

なんだかドキドキしてしまう・・・

「よろしくお願いします!」

「そんなに緊張しないでいいんだよ?」

緊張しますよ!俺はそう言いそうになったが、その言葉をツバと一緒に飲み込んだ。

あやねさんはこの村の会計担当だ。朝倉あいちゃんと同じ。

一言で言うと、大人の女性・・・?かな?

まぁ、もちろんのこと俺とこの人じゃ会話が進むこともなく、あやねさんの2歩後ろをついていっている状況であった。

「私、勇気さんの家に向かうけど一緒に来る?」

「あ。勇気さん・・・どうしてですか?」

俺はそう言うと、事細かく教えてくれた。

勇気さんは、昨日夜勤で出荷してきたらしい。

疲れて眠ってしまっているだろうから、起こしに行こうというわけらしい。

俺はそれについていくことにした。

特に理由はないが、強いて言えば、早くみんなと馴染んで、仲良くなりたいからだ。

初めは老人が多いと思っていた。なんせ農業などはそういう人がしているイメージだからだ。

でもこの村はいろいろな物を少人数で効率的に作られている。

つまり、ほとんどが機械だ。

ほとんど・・・表現が悪かった。

100%機械で行っている。

俺達がやっていることは、機械の整備と調整・・・

それをするだけで1日、1億ほど稼いでいる。

はじめ聞いた時はとんでもない村だなと思ったが、来てみると

もっとすごいことがわかった。

機械はすべてコンピュータで制御されており、最新の機械である。

そりゃ美味しい野菜や果物ができるわけだ・・・

俺は関心していた。すごすぎる・・・コンピューターの村。

このコンピュータの村での生活がとっても楽しみである。

「勇気さ〜ん?いますか〜?」

家に着き、チャイムを押す。

あやねさんは何度も呼ぶ。が・・・

誰も出てこない。

「やっぱり寝ているんだな・・・中入っちゃおっか」

「え?いいんですか?!」

「いいのいいの。もうすぐ3時だし・・・遅れちゃダメよ」

「そうですけど・・・」

「よし。入ろう。お邪魔します」

俺はそれにつられて、同じ言葉を言い、2人で中へと入る。

中は異常に汚かった。流石・・・男の部屋
という感じがした。

俺が台所に行き、あやねさんが眠っているであろう勇気さんを探していると

1つの悲鳴が聞こえた。

その声は寝室・・・主は多分・・・あやねさん・・・

「どうしたんですか!?」

俺は慌てて悲鳴の元へ駆け寄った。

そこには、血まみれで倒れている勇気さんと、腰を抜かして座っているあやねさんがいた。

「な・・・とりあえず、みんなを呼んで来ます!!」

俺はそう言ってその場をあとにして、走って集会所に行った。

集会所はそれほど遠くなく、ものの1分でついた。

そこにはもう残りの人達がいた。

「お、白玖さん。あやねさんと勇気さんは知らないかな?」

「そんなことより・・・!!僕の話を聞いてください・・・」

俺はこれまでにあったことを全て伝えた。

伝え終わったと同時にみんなの顔色が変わり、一目散に走って行ったのは

村長の俊介さんだった。

残りの人達もその後に続いた。

勇気さんの家に着き、死体を見ると・・・全てが沈黙に変わった。

この村には俺達以外入ることができない。

この村は他の村と違って、入村手続きが必ず必要なのである。

回りは大きな壁に囲まれており、入ってくることは愚か、出て行くことすらできない。

それに唯一の出入り口の門には24時間監視カメラが作動しており、登録した人の目の虹彩と違う人が入ってきたらサイレンが鳴るようになっている。

そんなセキュリティーの中、人が死んだ。

こんなに血まみれで死んでいる。殺人事件と言っていいだろう。

俊介さんは死体に触れ、死んでいるかどうかを確認する。

「死んでいますね・・・まぁ見ればわかりますでしょうが・・・」

一体誰がこんなことを・・・

「誰がしたんだよ!名乗り出ろよ!」

一人の男が声を上げて話した。飯塚さんだ。

「そんなこと言っても意味ないだろう。はい、殺人者です。って名乗り出るとでも思ってるのか?」

「・・・まぁそうだけどよ・・・」

飯塚さんが落ち着いた。

その言葉を聞いたみんなが一応落ち着いたようだ。

でも、さっきの言葉で俺は悟った。

『この中に犯人がいる』

それだけは分かった・・・しかし誰なのかまでは全くわからない・・・

そんな思考を続けていると、俊介さんがこういった。

「戻って、話し合いをしましょう」

みんなの表情が変わる。

人が死んだというのに会議なんかしている状況か?

そんな言葉が飛び交う中、俊介さんはとんでもないことを言った。

「いえ、違います。・・・誰が犯人なのかを話し合うのです。そう・・・この村から犯人と思われる人を追い出す。追放会議を始めましょう。」



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