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作品名:人のフリして人の不理 作者:シン

第15回   15
昨日の夢は何だったんだろうか・・・

俺は直感的にあの夢は俺に何かのヒントを与えてくれた気がする…

ただ、ただ・・・そんな気がする・・・

それでも、あの夢の内容を全ては覚えていない。

俺の脳には必ず格納されている。

それを引き出せないだけなんだ。

何か…記憶を引き出す引き金が…

その何かが必要なんだ。

・・・・だめだ。

考えるほど、思い出そうとするほど、わからなくなってくる。

記憶というのは近くて遠いもの。

近すぎて遠すぎるもの・・・

白玖「あーもうやめた」

あやね「え?なにが・・・?」

俺の言葉に反応したのはあやねさんだった。

そうだった…今は裏会議の時間だった…

白玖「すいません、考え事をしていて…」

あい「そっか…大丈夫?」

あいちゃんにそう言われ、俺は縦に首をふる。

無造作に行ったこの動作は、俺の脳の電気信号を突発化させ、記憶の引き金を・・・引いた。

『身近な人が敵だったりするかもよ?』

俺の脳に1つの稲妻が走る・・・

なんでだ・・・?

いきなりこの言葉が俺の脳に浮かび上がった・・・

あの夢の女の子が話していた言葉なのか?

この言葉信じて思考を巡らすのがいいのか・・・?

俺はその言葉を信じ、身近な人を探した。

まずは、ここにいる3人。そして、柚莉愛、颯人、凛恋。

この6人で最も身近・・・

柚莉愛…

いや、柚莉愛は違う・・・

俺の妹であるが、人狼ゲームの経験者だ。

でも、市民側だったため、人狼という可能性は低いだろう…

白玖「颯人・・・」

あい「颯人さん?それなら楽空さんが占ったんじゃない?」

白玖「だから占うんだよ。めるさんみたいにウソを見つけ出せるかもしれない」

俺がそう言うと、ここにいる3人は納得してくれた。

あやね「確かにそうね…それが本当だったら信用できる人も増える…」

朋香「じ…じゃあ、早速占います!」

あやねさんが言った言葉に重ねるように朋香ちゃんは言った。

白玖「あぁ、颯人だぞ。よろしく」

きっともう少しで占えない時間になってしまうのだろう。

朋香ちゃんは目を瞑り、何かを持ち祈っている。

占いを間近で見るのは初めてだ・・・

数分・・・いや、数十分たっただろうか・・・?

初めてだから分からない・・・が、こんなに長くかかるものなのだろうか・・・

そんな心配もつかの間…朋香ちゃんが倒れた。

あい「大丈夫!?」

2人と俺がすぐさま駆け寄る…

朋香ちゃんの息が荒く、早い・・・

どうしたのか俺には理解できなかったが、朋香ちゃんは最後の力を使い、言葉を発した。

朋香「颯人…颯人さん怖い…占ったら死ぬ…死ぬ…いや…こないで…」

1つの悲鳴・・・

あい「朋香ちゃん!?朋香ちゃん!!!」

あいちゃんの声は震え、涙をながす。

あい「朋香ちゃん…死んだの?なんで!?なんでなの?!」

動揺するあいちゃんを見て、俺は腰が抜けるようにその場に座り込んだ。

白玖「占う人を間違えた…占ったら死ぬんだ…なんで颯人が…」

あやねさんもペタンと座り込む。

あい「どうなるのこれから…私達、負けちゃうの?」

朋香ちゃんが死んだことは何かの理由がある。

それに気づくことができるかどうかが大事なんだ。

白玖「大丈夫。俺が無駄死になんかさせないよ」

泣きじゃくるあいちゃんの目をみてそうつぶやいた。


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