携帯電話から、軽快な音楽が鳴り、着信を知らせる。 この着信音は美鈴のものだった。 一瞬、優真から力が抜けたのを感じると、その下から何とか抜け出した。 携帯電話を掴むと、私は受話ボタンを押した。 「あ。理子姉?」 「…美鈴。どうしたの?」 「んー、なんとなく?どうしてるかな?って、思って…理子姉。なんか、息荒いけど、大丈夫?」 「へ、部屋の片付けしてたから…それでよ。きっと」 「そっか。実はさ………」 美鈴が、学校であった出来事を話しているが、頭にちゃんと入ってこない。 美鈴への、罪悪感からだろうか。 「…理子姉。聞いてる?」 「き、聞いてるよ」 そう美鈴に答えた時だった。背後から、抱き締められる。 「ゆっ!」 思わず名前を呼びそうになって、口を手で塞ぐ。 「理子姉?」 「…理子」 二人が、私を呼ぶ。 私は、完全にパニックになっていた。 何かを察したのだろう。美鈴が、突然… 「っ…今から、行くからっ!」 ツーツー 電話が切れる。 「ゆ、ゆうくん!今日は、帰って!美鈴が、来ちゃう」 「美鈴にも、話す。俺の気持ち」 そんなことしたら、私たちの関係は崩れる。ゆうくんも、みーちゃんも、私にとっては大切な幼馴染みなのに…。 どうしたら、いい。どうすれば…。 ぐるぐると、私はゆうくんの腕の中で長考していると、ピンポンピンポンピンポン!と、何度もチャイムが鳴った。
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