私…榊原理子は、退屈な大学の講義も終わり、友人たちと別れ、夕飯の買い物をしてから帰ろうとしていた矢先のことだった。
〜♪
軽快な音楽が、鞄の中で着信を知らせる。 画面を見れば、幼馴染みで、好意を寄せる相手からだった。 「もしもし。ゆうくん?」 『理子。ゆうくんは止せって、言っただろう』 電話越しでも苦笑いしてるのが伝わってくる。 「ふふ。ごめんなさい。でも、突然どうしたの?優真」 『ん?ああ。…今から会えないかな。ってさ』 「今から?優真にしては、珍しく突然ね。いいわよ。学校も終わったところだし…美鈴には、連絡した? 美鈴とは、もう一人の幼馴染み。私たちより二つ年下の女の子だ。 その子も、優真を幼い頃から好きで、よく二人で喧嘩していた。 成長してからは、それもなくなり、可愛い私達の妹の様な存在だ。 『…悪い。美鈴抜きで話したいことなんだ…今から、部屋に行ってもいいか?』 「…?わかったわ。いいわよ。待ってる」 『悪い。それじゃあ…』 ツーツー 電話が切れた。部屋、片付けていたかな? 買い物は後回しにして、急いで帰らないと…。 私は、足早に家路に就いた。
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