ティアとアルクは裸のままお互いを優しく抱き合い、夕暮れに染まる小さな家の中でまどろんでいた。ティアがアルクの厚い胸板に頬を寄せながら尋ねる。 「ねぇアルク、これからどうする?」 「これから?」 「このヘロンに居続ける?私はチャオロに帰りたいんだけど。」 「あぁ、それもいいが147年前と変わらない俺たちの姿を見たら腰を抜かすんじゃないか?まぁもっとも当時の俺たちのことを知っている人たちはもういないだろうけど。」 「そうね・・・。」 仲良かったリンカたちやボムたちはもうこの世にはいない。大好きだったチャオロの人たち全員が天国に行ってしまった。それにコナーやジョルジュたちも・・・。それを考えたらティアの心にとてつもない寂しさがやってきた。瞳に涙が滲む。アルクはそんなティアの憂いを受け止めながら優しくティアの髪を撫でた。 「俺さ、実は住んでみたい場所があるんだ。」 「え?どこ?」 「ジャポネ国。そこで二人でのんびりと畑でも耕しながら暮らしたい。ティアさえ嫌でなかったらだけど。」 「嫌なはずないよ。ジャポネ国かぁ、私も行ってみたい。とても自然豊かな国だと聞いているわ。このヘロン国も素晴らしいところだけどジャポネ国で一からやり直したいな。そうだ!牛も飼おう!毎日搾りたての牛乳が飲めるわ。」 ティアが瞳を輝かせながら提案した。アルクもそれに乗る。 「いいなそれ。そうだな、鶏も飼おう。毎朝生みたての新鮮な卵が食べられるぞ。オムレツなら俺に任せろ。」 「アルクが作ってくれるの?」 「もちろんだ。なんせ147年間も作り続けたオムレツだからな、年季が入りまくってうまいぞ。」 「それは楽しみ!」 二人は顔を見合わせて笑いあった。とても穏やかで幸せなひと時。
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