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作品名:陽だまりという名の喫茶店 作者:雲のみなと

第7回   エンドレスラブ
あなたの首筋にそっと触れたらぬくもりの中にとくとく波打つ脈を感じた。
これが生きているということなのだろう。

見上げれば空はどこまでも高く他には何も見えなくなるけれど
視線を落とせば道端の店から漏れてくる音楽があることに気づいた。
音楽は耳を掠め道の向こう側へと流れ消えていく。

時は流れ、あなたはあなたの人生を行き、私は私の人生を歩いている。
人は愛する人に忘れられた時に死ぬというけれど
私の胸の中にはどれほど時間が経とうが死なない曲がある。
それはダイアナロスとライオネルリッチの「エンドレスラブ」という曲だ。
この曲を聴くたびに身も心も悲しく震える。
そして聞き終えた時に思い知らされるのだ。
「大切にしたいものはどんな困難な目に合おうが精一杯大切にする。誰かに疑われても自分が疑っても諦めずに見限らずに大切にする。これが人生で一番しなければならないこと。」
そのことに気が付いたのはあなたを失った後。
二度と戻らない日々にどんなに思い焦がれてもそれはアルバムの中の一枚の写真でしかない。
どうして私はあんなにも冷たく鈍感だったのだろう。
永遠に終わらない愛の曲を聴きながら明日には終わる愛に甘えていた。

涙が今はいないあなたの首筋に落ちていく。


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