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作品名:陽だまりという名の喫茶店 作者:雲のみなと

第3回   色彩溢れる星での人種差別の愚かさ
肌の色が違う。
これにどれほどの意味があるのか。
肌の色が違うことであなたや私が何の迷惑をかけたというのか。
何の迷惑をかけられたというのか。

肌の色は地球の色だ。
地球というこの星にはありとあらゆる色が存在している。
風に揺れる緑の樹々の色。未開拓地の土の茶色。科学を知り尽くしたアスファルトの灰色。
肌を隠すだけでは飽き足らず奇抜な原色を塗りたくったカラフルな服の色。それとは対照的なありのままのコットンの色。
放置されたかのような道端のたんぽぽの黄色。春が訪れれば人が見上げる桜のピンク色。
夏には蝉しぐれを降らす蝉の色、秋は朱色の赤とんぼが郷愁を誘い、冬は真っ白な雪が道行く人の身も心も凍らせて我々は体温を自覚し生き物としての感覚を研ぎ澄ませる。

こんな風に地球は数えきれないくらいの色で溢れている。
その中の一つである人間の肌の色が人種によって違うことになんの意味があるというのか。
1000ある色の中で二つか三つの色をことさら大きく取り上げて差別することがいかに馬鹿げていて無駄なことか。
こんなに豊かな色彩に溢れる星に生まれ育つことの贅沢はあらゆる不幸を凌駕する。いろいろな色があって当たり前のこの世界で当たり前のように生を全う出来る贅沢を忘れてはならない。
白だろうが黒だろうが黄色だろうが人間として生まれてきたことに変わりはなく
また誰に咎められるものでもない。
どんな色であろうと真上にある大空の青色に抱かれていることに違いはないのだから。


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