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作品名:陽だまりという名の喫茶店 作者:雲のみなと

第13回   子供たちへ、
過ぎてしまえばすべてが塵となるだけ。
喜びも悲しみも怒りも許しもそれらはそれを味わった場面の所有物。
だからその時間、その場から離れてしまえばすべて過去の所有物、過去のもの。

近所の小学校のプールから子供たちのはしゃぎ声が聞こえてきた。
水面から飛び出た水しぶきは夏の日差しをかいくぐり、干上がることなく辺りにわずかばかりの雨を降らす。
この世界が必要としているものは明るく希望に満ちた子供たちの歓声と
乾いた土を潤す綺麗な水しぶきだ。

今、この時、無邪気に遊ぶ子供たちはこの先どんな人生を歩むことになるのだろう。
どんな人生を歩むことになっても過ぎてしまえば塵になるばかり。
喜びも悲しみも怒りも許しもすべて塵となりアルバムの中へ積もっていく。
そして年老いた時にアルバムを懐かしく紐解くのが人生というもの。
積もった塵は過去の所有物。
こびりつくような苦しみも永遠に離れそうにない悲しみもいつか絶対に過去のものになる。
だからそう深刻にならずに、思いつめずに、腐らずに、たった一度の人生を謳歌して欲しい。

子供たちの明るい歓声がこの世界の立ち消えそうな感性を呼び覚ます。

子供たちに少しでも多くの平和と絶えることがない実りを残したいならその為に大人たちは今なにをすべきか。


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