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作品名:陽だまりという名の喫茶店 作者:雲のみなと

第1回   明かりの仮宿
黒は光を吸収し

白は光を反射する。

闇は日差しを吸い込み

月は太陽の光を身にまとい輝く。

何もかも受け入れる黒が強いのか

何もかも撥ねつける白が強いのか

一人寝の悲しみも寂しさも等しく吸い込む闇が優しいのか

誰それの威光だなんだとこだわらず、明かりの仮宿となって夜道を照らす月が優しいのか。

どちらがより強いのか

どちらがより優しいのか

私は闇のように、月のように誰かの人生の手助けをしてあげられているだろうか

この先、誰かの悲しみを和らげてあげられるだろうか

答えを求めて夜空を見上げる。

そうだ、私は黒にも白にもなれない

闇とも月とも違う

ただの人間なのだ。

誰かに愛され、愛したいだけのどこにでもいそうな人間。

答えを求めているようで実は救いを求めている。

誰かを救いたいと漠然と願うだけで

自分がこの世に生まれてきたのは無意味なことではないと錯覚出来る人間。

錯覚でもいい。一時的でもいい。

誰かを愛し、愛され、救い

そうすることで救われたい。

明かりの仮宿となって愛する人の道を照らしたい。


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