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作品名:言の葉の港 作者:雲のみなと

第8回  
       愛

人を愛するということは汚らわしいことではない。

もし愛するということが汚らわしいことだというなら

この世界に穢れていないものなんてないだろう。

この愛は私の身の上に起きていることなのに自分でさえとめられない。

衝動的に壁に書き殴ったらくがきのような愛であっても

誰にも咎められないし

例え咎められてもやめることは出来ない。

出来ないのに別れは突然この人生に与えられる。

欲しがってなんかないのに悲しみは容赦なく私に与えられる。

気丈なふりしてあなたなしで生きていくことは出来ても

あなたがいた人生にはもう二度と戻らない。

あなたと出会って私の人生は全く別のものになってしまった。

明日という同じ名がついただけのまったく違うもの。

愛というものを知らなかった頃の私ならきっと今でも無邪気に笑って過ごしていた。

親から与えられた画用紙に好きな絵を描いていた頃の私ならこんなに悲しくはなかった。

どうして愛はこんなにも切なくて悲しいのか

どうして愛はこんなにも胸をえぐるのか。

なぜ愛なんていうものをこの小さな世界に作ってしまったのか。

愛おしさも悲しみも私の中に収まりきれない。

涙のように溢れ出して私をどこかへ押し流してしまう。

私はどこへ行くの。




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