どうせあろうと生きていかねばなるまい
望んでも望んでも手に入らなくて諦めかけたまなざし
そうして仰いだ空がとても軽く見えたのはなぜ。
諦めたことで知った身軽さを覚えているのにまた期待をしてしまうのはなぜ。
お腹など空いていないのに幾度となく冷蔵庫を開けてしまうのはなぜ。
見たいテレビ番組などなくてそれでも見ずにいられなくて
掘り出し物を見つけたい一心でつけた画面から届けられた笑い声が
妙に白々しく聞こえるのはなぜ。
消えるように死んでしまいたいと望んでしまうのはなぜ。
しかし別段本気でその答えを知りたいわけではないのだ。
期待をしてそのたびに小さな裏切りにあって無欲という凌ぎの技を覚えてゆく人生。
多くを望まないということが結局自分を楽にしてくれることが分かった。
それでも時として
「このままではいけない。」と強く思う時がある。
過去に置いてきたはずの士気が、欲望がこの手に戻る時がある。
それは感情の塊、泣き叫ぶ赤ん坊を見た時だ。
年齢に相応しい生き方をしている赤ん坊。
この一瞬一瞬に欲しいものを人目も気にせずに求め泣き叫ぶ。
羞恥心がないから泣き叫んでいるのではない、それが必要だから泣いている。
今この時を生きる為に必要なものを遠慮なく貪欲に求める姿、それは人としての原点。
その真っ直ぐさに見とれて無感情になったはずの私の心が
生きる為の欲望に誘発され士気があがる。
どうであろうと生きていかねばなるまいと。
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