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作品名:雲のみなと 作者:雲のみなと

第7回   ふたりあやとり
       ふたりあやとり

あなたがあやとりを差し出す。

私はそのあやとりに指を落とし田んぼを作る。

するとあなたはその田んぼに指を絡め川を作った。

次に私が川を船に変え、今度はあなたが船を蛙に変えた。

目を合わせては微笑みあい、何度も何度もあやとりを繰り返す。

そうやって二人で作り上げた幸せな田園風景。

私たちは子供のように無邪気にじゃれ合い

名前も忘れた寂れた街角で抱き合い

ある日突然、西日が溢れる黄昏の部屋であなたが別れの言葉を口にした。

そして今、二人で描いた田園風景にあなたはいない。

私のこの手にあるのはあなたのぬくもりが残るあやとり

いいえもはやあやとりなどではなく、愛する人を失ったただの一本の赤い糸。

赤い糸を濡らす、やがては消えゆく感傷がここにあるだけ。


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