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作品名:雲のみなと 作者:雲のみなと

第34回   待ちあぐむ人
        待ちあぐむ人


幕引きを知らせる灰色のシャッターが下ろされた商店街


人気の少ない静かな町のほとりで寂しげなかたまりが一つあった。


待ちあぐむそのかたまりは間違いだらけの恋模様に泣いている。


目を覚ませよとひたひたと頬を叩く風


それでも彼女はひたむきに彼を待っている。


彼がここにくるはずなどないだろうに・・・。


所詮彼は気まぐれだ。


寝泊まりしたこの町の風景にほどよく似合う女性を


その場その場で欲しがっていただけ。


そんなことは彼女もとっくに気づいているのに


今もこうして錆びたシャッターを背にして彼を待ち続けている。


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