待ちあぐむ人
 
  幕引きを知らせる灰色のシャッターが下ろされた商店街
 
  人気の少ない静かな町のほとりで寂しげなかたまりが一つあった。
 
  待ちあぐむそのかたまりは間違いだらけの恋模様に泣いている。
 
  目を覚ませよとひたひたと頬を叩く風
 
  それでも彼女はひたむきに彼を待っている。
 
  彼がここにくるはずなどないだろうに・・・。
 
  所詮彼は気まぐれだ。
 
  寝泊まりしたこの町の風景にほどよく似合う女性を
 
  その場その場で欲しがっていただけ。
 
  そんなことは彼女もとっくに気づいているのに
 
  今もこうして錆びたシャッターを背にして彼を待ち続けている。
 | 
  
 |