風の置き土産
  朝日が昇るとそれを合図にして雀の鳴き声が夢の淵にやってくる。
  可愛らしいチュンチュンという鳴き声が心もとない夢の淵で躍っているから
  私はそれに誘われて目を覚ました。
  良い夢だったのか悪夢だったのかも忘れカーテンを開ければ朝日が目に飛び込んでくる。
  眩しくて思わず目を細めた。
  化粧もまだしていない、素のパジャマのままで空を見上げて今日に問う。
  今日はどんな一日なる?
  そんなこと誰にも分かりはしないけどこんなに空が青いのだから少なくとも悪い一日にならないはずだと信じよう。
  窓を開けて息を吸って朝の空気をごちそうになる。
  それは今日初めて体に入れたもの。
  そうしていると通りすがりの風が私の頬を撫でて行った。
  今日一日生きられることのささやかな幸せをこの体に置いていった。
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