失速する言葉の矢
愛するあなたを励ましたくてあなたへと言葉の矢を放つけど
どれも的外れでちっともあなたを勇気づけられない。
届かない矢は床に散らばるばかり。
行き場を失った惨めな矢の一本でもあなたが情けで拾ってくれれば
私も疲れずに済んだものを。
でもそれは強制、あなたが望んですることではないね。
惰性で磨かれたテーブルの上に残された一本の鍵。
あなたが置いていった鍵、二人が暮らしたこの部屋の鍵。
この部屋で味わう不自由さより外の世界の不自由さの方が
よほどしんどいであろうにそれでもあなたは外を選んだ。
何を思い、何を決心してこの部屋を後にしたのかはとうとう私には分からなかったけど
さようならあなた。
あなたに幸があり続けるように私は願っている、それだけは私にも分かる。
夜空には太陽はないけど星がある。
いつか私も悲しみを捨て、星を見て笑える日が来るから
きっと来るから。
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