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作品名:雲のみなと 作者:雲のみなと

第24回   短い花火大会
     短い花火大会

傘なんてさしても悲しくなるだけじゃない。

さしたところで雨がやむわけでもあるまいし。

ならばいっそう濡れるだけ濡れて嘘でも笑ってしまえばいい。

雨が降り始めたのにそれでも花火を打ち上げるなんて

人はそんなに救われたいの?

綿あめを握りしめた手に細い銀の糸が落ちてくる。

その糸を掬い取って花火が咲くであろう闇を見上げた。

上がらない花火。

短い花火大会が終わった。

さっきまで斜に構えていた心が威勢虚しく萎んでいく。

なんやかんやいっても楽しみにしていたのだ。

そして昨夜と同じような静寂を約束された闇が

傘を閉じるようにやってきた。


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