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作品名:雲のみなと 作者:雲のみなと

第21回   龍宮
      龍宮

雨が降り、降り続き

雨から逃げ遅れた人は肩まで水につかり髪まで濡れ

雨の日のプールで人々はやがて生まれたての人魚になった。

濡れたプールサイドで諦め顔で座っていたり

水の中で恋人と抱き合っていたり

友達とにらめっこして大笑いしたりと

皆とても幸せそうな顔をしている。

束の間の人魚の人生を楽しんでいるのだ。

俗世は水面で途絶え、人魚のいるところまでは届かない。

人魚の踊り場は別世界、まるで龍宮。

雨が終われば消えてしまう儚い水の城。


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