ピアノ
ピアノ。黒と白の鍵盤の繰り返し。どの鍵盤も同じような形で無個性に見える。
でも実際はどの鍵盤にも一つ一つ与えられた音があってどこに指を置いても違う音を奏でる。
全てに個性が備わっているのだ。
思えば人生もそれと同じなのかもしれない。
毎日なんの変哲もない日常を繰り返し過ごし、とりたてて何も書き留めることもないような一日の終わり。
でも本当はそんな日常も少しづつ違っていて、昨日、今日、明日と異なる音が出ているのかもしれない。
ぱっと見ただけでは分からないけど、よく耳を澄ませば気づく。
奏でる音を変えながらやがて一番高く美しい音へとたどり着く。
そう、ピアノのように。
どこに指を置いても甦る思い出。隣り合う昨日今日明日。
それを繰り返し繰り返し生きてやがてくる人生の頂点を知るために
人生はこうやって横たわっているのかもしれない。
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