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作品名:雲のみなと 作者:雲のみなと

第15回  
      夜


青白い満月が鴉の濡れ羽色の闇にぽつんと一つ浮かんでいる。


それはまるでドアノブのよう。


それを掴んで恐る恐る回してみる。


するとその瞬間を待っていたかのように


この世で一番儚く優しい子守唄を纏った星々が溢れだしてきた。


星から放たれた子守唄は世界を包み込み


それに沿うように月光が凛凛とこの町に降り注ぐ。


人々が眠りについたその後も絶え間なく夜は夜であり続けるのだろう。


やがて朝日が星々と闇をたたむその時まで。


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