切れ端
めまぐるしく変わり続けるこの世界から振り落とされないように
世間の隙間に指をかけ必死でしがみついてここまできた。
口から洩れる言葉は「いい加減疲れた。」こればかり。
でもだからといってこの世を儚んで手を離すわけにはいかない。
ここで諦めたら今までの時間が無駄になるからだ。
しがみついてあがいてよじるこの体にふと一片の切れ端が引っかかった。
そこには「なぜ生きるのか」という言葉が書かれていた。
誰に問うているのか分からない切れ端だ、しかも答えが書かれていない。
それでも私はそれを捨てられなかった。
こんなもの役に立たないと言って捨てられるほど私は十分に生きていないからだ。
この切れ端に対する答えがいつか見つかると信じて
もう少しこの世間にしがみついてみよう。
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