そうこうしているうちに、模型飛行機が着陸した。 係りの男は、飛行場を見た。 「あっ、着陸しました!」 操縦していた男がやってきて、コントローラーからメモリーを取ると、係りの男にコントローラーを手渡した。 「どうも!おいくらですか?」 「五分なので、千円です。」 その男は料金を払うと、さっさと帰って行った。 係りの男は、コントローラーを持ちながら二人に尋ねた。 「模型飛行機は、操縦したことありますか?」 アニーが答えた。 「はい、あります。」 アニーは、コントローラーを見ていた。 「この赤いボタンは何ですか?」 「静止画撮影ボタンです。」 「動画は?」 「離陸と同時に自動で始まります。そして、着陸したら自動で終了します。」 「分かりました。」 「メモリーはありますか?」 「あります。」 アニーは、双眼鏡カメラを取り出し、メモリーを抜き見せた。 「これでいいですか?」 「あっ、いいです。」 男は、コントローラーをアニーに渡した。 「メモリーはここに差し込んでください。」 「はい、分かりました。」アニーは差し込んだ。 男は滑走路の脇のテレビの載っているポールを指差した。 「あの二つのポールの一番に行ってください。モニターがついているので、赤い差込みから出ている端子を、このコントローラーに差し込んでください。」 男は、コントローラーの端子を差込む部分を指差した。 「ここです。」 「分かりました。」 アニーは、姉さんに得意のキラーウインクを見せた。 「葛城さん、行きましょう!」 男は、アニーのキラーウインクを見ていた。 「思い出した!宇宙刑事アニーだ!」 アニーは、男にもキラーウインクを見せた。 男は別のことを思い出した。 「そうだ、有名人には、パブリシティ権が発生するんですよ!」 アニーは尋ねた。 「何ですか、それ?」 「有名人の肖像には、パブリシティ権というのが発生するんです。財産権として認められている権利です。だから、モデルリリースも高くなるんです。」 「そうなんですか?」 「え〜〜〜、宇宙刑事アニーのアニーさんですか!?」 「違います。ただの、そっくりさんです。」 「似てるなあ〜〜!」 そう言うと、アニーは滑走路に向かって歩き出した。姉さんは、子供のような小走りで急いでアニーの後を追った。 滑走路に模型の赤い複葉機が着陸していた。その場所の滑走路ではないところにモニターのついた二本のポールが立っていた。 アニーは立ち止まった。 「え〜〜っと、こっちが一番ね。」 一番のモニターの下から端子が見えていた。『引いてコントローラーに差し込んでください、』と記してあった。アニーは端子を取って引くと、自動で細い線が延びて出てきて三メートルくらいになった。 「これを、コントローラーに差し込めばいいのね…」 アニーは差し込んだ。 コントローラーに電源が入った。 「これで大丈夫だわ。」 モニターのスピーカーから声が流れた。 「コントローラーの離陸ボタンを押すと、離陸します。」 アニーはモニターに答えた。 「分かりました。」 「何か分からないことがあったら、尋ねてください。」 「はい。」 アニーは、離陸ボタンを押した。全長一メートル二十センチほどの赤い模型複葉飛行機は、プロペラを勢いよく回転させて、上空に舞い上がって行った。 姉さんは好奇心旺盛な子供心で感激した。 「わ〜〜〜、かっこいい〜〜!」 モニターを見た。 「モニターに空撮が映ってるわ!」 アニーは、手馴れた手つきで冷静に操縦していた。 太陽は大宇宙の法則に従い、マッチの歌のように明るくギンギラギンにさりげなく光り輝いていた。 姉さんは歌いだした。
ギンギラギンにさりげなく〜 そいつが俺のやり方〜♪ ギンギラギンにさりげなく〜 さりげなく生きるだけさ〜♪
またしても、紅流の型で踊りだした。
I get you bady I need you baby I want you baby Right on!!
「正拳!」 姉さんの左正拳突きが、空を突いた。
燃える風に俺は叫ぶ 好きと〜〜〜♪ ギンギラギンにさりげなく〜 そいつが俺のやり方〜♪ ギンギラギンにさりげなく〜 さりげなく生きるだけさ〜♪
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