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作品名:高野山 人間村 作者:毬藻

第88回   もこもこ〜〜!
きょん姉さんは、思わず子供のように叫んだ。
「ぅわ〜〜〜、アルパカだわ〜〜!」
アルパカ牧場の入口の看板には、日本語と英語と中国語で書かれてあった。
「中国語の時代ですね〜。」
「最近、中国の人が別荘を建てているんですよ。」
「高野山にですか?」
「はい。」
「金持ちだなあ〜。」
牧場の中には、八頭のアルパカがいた。二人は入場料大人一人三百円を払って中に入った。二人は、親を無条件に慕うカルガモの赤ちゃんのように、のこのこと若い女性の係りの人に、後追い歩きでついて行った。
姉さんは、アルパカを見ながらにこにこしていた。
「ぅわ〜〜〜、アルパカだわ〜〜!」
アニーも、姉さんに感化されたのか、にこにこしていた。
「アルパカって、白ばっかりじゃあないんですね。」
係りの人が説明した。
「白が多いんですけど、茶色や黒やグレーや、それらの色が混ざったのとか、いろいろいるんです。」
姉さんが係りの人に尋ねた。
「触ってもいいんですか?」
「はい、いいですよ。」
姉さんは、恐る恐る長い首の上を触った。
「ぅわ〜〜〜〜〜ぁ、ふわふわ!」
アルパカはおとなしかった。
アニーも背中を触った。
「ぅわ〜〜〜、フルフィー!」
アルパカはおとなしかった。
係りの人が説明した。
「アルパカは、とてもおとなしくって人懐こいんです。アンデス高地の家畜ですから。」
姉さんは、優しく触りながら、アルパカの顔を見ていた。そして、係りの人に尋ねた。
「なんだか、顔はラクダに似てますね。」
「ラクダの種類なんです。」
「ああ、やっぱり。」
アニーは、姉さんの後ろにいた。
「わたし、羊の仲間とばかり思っていたわ。ぅわ〜〜、もこもこで気持ちいいわ〜。」
黒いアルパカがやってきた。係りの人に顔を近づけてきた。
「嫉妬して、こうやってやって来るんです。こっちも触ってやってください。」
アニーは回り込んで、同じように背中を触った。
「わ〜〜、こっちも、もこもこだわ〜〜!」
姉さんも、黒いアルパカの前からやってきて、首の後ろを触った。
「ぅわ〜〜〜、もこもこ〜〜!こういうベッドが欲しいなあ〜!」
アルパカが、ァ〜と鳴いた。トンボが、彼らの近くを今生きるために飛んでいた。少し離れたところに、リスが草に隠れて彼らを見ていた。太陽は、全てに公平に今輝いていた。高野山は、緑のそよ風いい日だな〜♪だった。


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