アニーは、ゆっくりと歩きながらドームハウスを見ていた。 「あのハウス、何で出来てるのかしら?」 「材質ですか?」 「はい。コンクリートでも木でもなさそうだし?」 「あれは、発泡ポリスチレンです。」 「発泡ポリスチレン?」 「特殊な発泡スチロールです。」 「えっ、あの軽い発泡スチロールなんですか?」 あまり驚かないアニーが驚いた。 「はい。」 アニーは立ち止まった。そして双眼鏡を出して、ドームハウスを見た。 「そういえば、そういう感じですねえ。」 「強度や硬さを加えて、燃えないように加工されてて、表面は太陽光で劣化しないように特殊な塗料が塗られています。」 「中は気持ちいいのかなあ?」 「はい、とっても気持ちいいです。夏は熱を通さないし、冬は冷気が入らないので暖かいです。」 「エアコンとかないみたいだけど?」 「はい。エアコンは地下なんです。」 「地下?」 「地下に水道管みたいなものを通して、水をぐるぐる回しているんです。」 「あ〜〜、地下熱エアコンってやつですね?」 「あっ、それです。」 「詳しいですねえ?」 「実は、わたしの家もドームハウスなんです。」 「そうなんですか。」 「地下熱エアコンは、電気代がかからずに、とってもいいです。」 「そうなんですか。」 「それに、ドームハウスは木のように腐らず、鉄のように錆びず、シロアリもつかない。」 「それは素晴らしい。中に入ってみたいなあ。」 「わたしの家でよかったら、来てください。」 「えっ、いいんですか?」 「はい、いつでも。」 「じゃあ、この仕事が終わったら、いいですか?」 「はい。」 「わ〜〜、楽しみだわ!」 「アニーさんは、好奇心が強いんですね?」 「ええ、とっても。小さい時からなんですよ。何でも調べたがるんです。」 「じゃあ、わたしと同じです。」 二人は、お互いの目を見て、微笑みあった。まるで姉妹のように。 「夏に、ドームハウスの中で、ところてんを食べると、なぜか美味しいんですよ。」 「えっ、そうなんですか?」 「はい。不思議なんです。」 「どうしてなんでしょうね?」 「さ〜〜〜〜〜?」 二人は、顔を見合って大笑いした。 「一人で食べるんですか?」 「福之助と二人で。」 「えっ、ロボットの福之助さんと?」 「福之助は、食べる振りをしてるだけですけどね。」 またしても、二人は、顔を見合って大笑いした。
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