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作品名:高野山 人間村 作者:毬藻

第84回   ドームハウス
アニーは、ゆっくりと歩きながらドームハウスを見ていた。
「あのハウス、何で出来てるのかしら?」
「材質ですか?」
「はい。コンクリートでも木でもなさそうだし?」
「あれは、発泡ポリスチレンです。」
「発泡ポリスチレン?」
「特殊な発泡スチロールです。」
「えっ、あの軽い発泡スチロールなんですか?」
あまり驚かないアニーが驚いた。
「はい。」
アニーは立ち止まった。そして双眼鏡を出して、ドームハウスを見た。
「そういえば、そういう感じですねえ。」
「強度や硬さを加えて、燃えないように加工されてて、表面は太陽光で劣化しないように特殊な塗料が塗られています。」
「中は気持ちいいのかなあ?」
「はい、とっても気持ちいいです。夏は熱を通さないし、冬は冷気が入らないので暖かいです。」
「エアコンとかないみたいだけど?」
「はい。エアコンは地下なんです。」
「地下?」
「地下に水道管みたいなものを通して、水をぐるぐる回しているんです。」
「あ〜〜、地下熱エアコンってやつですね?」
「あっ、それです。」
「詳しいですねえ?」
「実は、わたしの家もドームハウスなんです。」
「そうなんですか。」
「地下熱エアコンは、電気代がかからずに、とってもいいです。」
「そうなんですか。」
「それに、ドームハウスは木のように腐らず、鉄のように錆びず、シロアリもつかない。」
「それは素晴らしい。中に入ってみたいなあ。」
「わたしの家でよかったら、来てください。」
「えっ、いいんですか?」
「はい、いつでも。」
「じゃあ、この仕事が終わったら、いいですか?」
「はい。」
「わ〜〜、楽しみだわ!」
「アニーさんは、好奇心が強いんですね?」
「ええ、とっても。小さい時からなんですよ。何でも調べたがるんです。」
「じゃあ、わたしと同じです。」
二人は、お互いの目を見て、微笑みあった。まるで姉妹のように。
「夏に、ドームハウスの中で、ところてんを食べると、なぜか美味しいんですよ。」
「えっ、そうなんですか?」
「はい。不思議なんです。」
「どうしてなんでしょうね?」
「さ〜〜〜〜〜?」
二人は、顔を見合って大笑いした。
「一人で食べるんですか?」
「福之助と二人で。」
「えっ、ロボットの福之助さんと?」
「福之助は、食べる振りをしてるだけですけどね。」
またしても、二人は、顔を見合って大笑いした。


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