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作品名:高野山 人間村 作者:毬藻

第67回   猿でいいじゃん、幸せなら!
「あ〜〜、頭使ったら、甘いものが欲しくなってきたよ。」
「頭使ったって?」
「発明だよ、発明。偉大なる発明!」
「なあんだ、まだやってたの?しつこいねえ。」
「おまえは、直ぐに諦めるからなあ〜。猿と同じだなあ。」
「猿は無いっしょ!」
「猿と同じだよ。ただ生きてるのは。猿や動物と同じ!俺、気が付いたんだよ。」
「何を?」
「人間と動物の違いだよ。」
「そうなの?」
「どこだと思う?」
「そうだねえ、やっはり、物を作って使うことかな?」
「そうだろう。それが人間なんだよ。ただ生きてるだけじゃあ、動物なんだよ。」
「まあね。」
「おまえも何か考えろ。」
「じゃあ、考えるよ。」
「そうやって、素直なところが、AB型だな。」
「まあね。難しいことは、あんまり深く考えないんだよ、疲れるから。」
「それで、よく将棋ができんな?」
「その頭とは違うんじゃないの。」
「簡単なものでもいいから考えろ。」
「どんなの?」
「…犬の自転車とか。」
「犬の自転車?」
「最近は、太って歩けない犬が多いだろう。」
「そうなの?」
「おまえ、知らないの?」
「へ〜〜え?あ〜〜あ、俺話しを聞くだけで疲れちゃった。」
「実はな、俺もそうなんだよ。」
「だったら、考えなきゃあいいじゃん。」
「そうだな。」
「無理すると、頭に悪いよ。」
「そうだな。」
「猿でいいじゃん、幸せなら。」
「そうだな。さすが、中卒のインテリ!」
「兄貴、それ褒めてんの?」
「褒めてんだよ、感心してんだよ。甘いものないかな〜。」
「甘いものはないけど、甘辛いものだったら、あるよ。」
「甘辛い?なんだい、そりゃあ?」
「わさび大福。」
「わさび大福?」
「なんか珍しいから、買ってきちゃった。近くの何とか村の名物って書いてあったよ。」
「野迫川(のせがわ)村だよ。」
「よく知ってるじゃん?」
「今日、行ってきたとこだよ。」
「ああ、そうなんだ。へ〜〜〜え。」
「どこにあるんだよ、それ?その甘辛いっていう大福。」
「冷蔵庫。」
「それ、一つくれよ。」
「ああ、いいよ。」
突然、ドッカ〜ンと爆裂音が轟いた。ショーケンはびっくりした。
「なんだ、なんだ!?」
アキラも立ち上がって驚いた。
「あ〜〜、びっくり!」
「猿狩り小次郎のミサイルか?」
「まさか?」
二人は、ドームハウスの外に出た。
天軸山の頂上で、不動明王の剣がネオンのように光って燃えていた。
「兄貴、なんだ、ありゃあ!?」
「なんだい、ありゃあ?」
二人は、呆然として、固まって見ていた。
「兄貴、カミナリでも落ちたんじゃないの?」
「そうかも知れないなあ。」
「でもおかしいなあ、こんなに晴れてるのに?」
「そうだなあ…」
「不気味だねえ。」
「そうだなあ…」
「高野山って、変なことばっかり起きるね。」
「そうだなあ…」
「あの剣を持ってるのに、命中したんじゃないの?」
「…サンダーストラックだなあ。」
「何それ?」
「AC/DCだよ。落雷命中!」
「何それ?」
「オーストラリアのカリスマ・ヘビメタだよ。」
「ヘビメタ・バンドか。兄貴はやっぱ、音楽には詳しいなあ。」
「本物のショーケンほどじゃないけどな。」


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