「姉さん!」 「何だよ?」 「今度は、棺桶を担いでいます。」 「何だって?」 テーブルの席に戻って座っていた姉さんは、またやって来て、窓の外を見た。 「ほんとだ!?」 「何やってるんでしょうかねえ?」 「なんだか不気味だねえ。」 「みんな、公園の方に行きますよ。」 「こんな時間に、何やってるんだ?」 壁にかかってる時計を見ると、九時過ぎだった。 「死神が棺桶を担いでみたいだねえ…」 「死神は棺桶を担ぐんですか?」 「ああ。」 六人の者が、それぞれの棺桶を担いで、公園に向かっていた。 「不気味な人たちだねえ。」 「人間って、変なことが好きですねえ。」 「あれは、ひょっとしたら、妖怪かも知れないよ。」 「人間ですよ。」 アニーもやってきて覗いた。 「きっと、天文台に向かっているんだわ。あそこには、星の広場があるんですよ。」 「星の広場?」 「大きな星の見える広場なんです。」 「そこは、星がよく見えるんですか?」 「周りが真っ暗なんですよ。」 「怖〜〜〜い!」 「周りが明るいと、星が見えなくなるんですよ。だから真っ暗のほうがいいんです。」 「死神がやって来て、ノックしたりして!」 返事したのは福之助だった。 「姉さんは、非科学的だなあ〜。死神なんていませんよ〜。」 「馬鹿生意気なこと言ってるんじゃないよ。」 「あ〜〜、また言った、それ!」 アニーも見ていた。 「少し風が出てきましたねえ。」 「そうですねえ。あの棺桶は軽いんですか?」 「軽いんじゃないんですか。担いでるくらいですから。」 「わざわざあんなところまで行って、不思議な人たちだねえ。わたしには、あの人たちが妖怪にみえるよ。」 「ここらあたりは、ユーフォーも見られるんです。」 「ユーフォーなら見てみたいなあ〜。」 「ログハウスの天窓から見れるかも知れませんよ。」 「ああ、そうでしたね。」 姉さんは、天窓を見た。 「二段ベッドから見れるんですよね。」 「そうです。」 姉さんは、二段ベッドに登って、寝転んだ。壁際のボタンを押した。天窓を覆っていた屋根がスライドして開いた。星々がガラス越しに見えていた。 「わ〜〜、星が綺麗に見えてるわ〜!」 ロマンチックな星空が広がっていた。 「ユーフォー、やって来るかな〜。」 福之助は、冷たい返事をした。 「そんなものやって来ませんよ。」 「おまえって、ちっともロマンがないねえ〜。」 「そんなもの必要ありません。」 「ロマンがないと、駄目だよ人間は。」 「わたしは人間ではありません。」 「あっ、そっか。」 「ドラキュラが、上から覗いたりして。」 「おまえ、何言ってるんだよ?変なこと言うなよ!」 姉さんは怖くなって、急いで天窓を閉め降りてきた。
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