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作品名:高野山 人間村 作者:毬藻

第41回   白鳥洋子
ヨコタンは、豊沢先生に歩み寄ると、深く頭を下げた。
「先生、お久しぶりです。白鳥洋子です。」
「しらとり、さん?」
「宇宙工学研究所の白鳥です。」
「あ〜〜、思い出しました!あなた、ここにいるの?いつから?」
「去年の十月からです。」
「あ〜〜、そうなの。」
「あそこは、体調を悪くして辞めました。」
「ああ、そうだったの。それは大変だったねえ。」
「また、ご指導のほど、よろしくおねがいします。」
ヨコタンは、深く頭を下げた。
「うん、じゃあ、ちょくちょく来ようかな。」
「先生、今日は?」
「近くに来たついでに来たんですよ。保土ヶ谷君や、一休さんや、一休さんの奥さんの顔が見たくなってね。」
豊沢先生は、一休さんの奥さんに気を使って返事をしていた。
「あ〜、そうなんですか。」
龍次が、掃除をしながら、ヨコタンに声を掛けた。
「ヨコタン、先生をゲストルームに連れてってくれない。掃除が済んだら、すぐに行くから。」
「龍次さん、掃除なんか若い人に任せて、一緒に来てくださいよ。」
龍次は、周りを見た。若い隊員たちが龍次たち三人を見ていた。
「それもそうだな。」
若い隊員たちが駆け寄って来た。
「わたしたちがやります!」
龍次は、モップを渡した。
「じゃあ、頼む!」
一休さんも明子も、若い隊員にモップを渡した。
「ここでは、ヨコタンと呼ばれているんです。」
「ヨコタン…、あ〜洋子たんで、ヨコタンですね?」
「そうです。」
「ここは、いいところですねえ。」
「はい。とってもいいところです。」
「人間村かあ、なるほどねえ。」
龍次が、先生に軽く会釈した。
「じゃあ、先生、行きましょう!」
「遠いの?」
「いや、すぐそこです。あの建物です。」
五人は、集会所に向かった。先生の横には、ヨコタンがついていた。
「先生は、確か、香川県出身ですよね?」
「そうです。」
「じゃあ、弘法大師と同じなんですねえ。」
「そうです。」
「これも、何かの縁ですねえ。」
「そうかも知れませんねえ。」
突然に、龍次が立ち止まった。
「あっ、忘れてた!あの若い人!」
明子が応じて答えた。
「龍次さん、大丈夫。システム担当のウメさんが、さっき集会所に連れて行ったわ。」
「さっきって?」
「わたしたちが、先生と、お話をしているとき。」
「ああ、そう。あ〜〜、良かった!」
集会所に着くと、ウメさんと、さっきの若者は、テーブル席に座って、話をしていた。龍次は、手を上げて挨拶した。
「ウメさん、ありがとう!頼むよ!」
「分かりました!」
龍次たちと、豊沢先生は、ゲストルームに入って行った。


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