20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ
 ようこそゲストさん トップページへ ご利用方法 Q&A 操作マニュアル パスワードを忘れた
 ■ 目次へ

作品名:高野山 人間村 作者:毬藻

第37回   発明革命家・豊沢豊雄先生
龍次の携帯電話(セルフォーン)が、ロ〜レンロ〜レンと鳴った。
「はい、保土ヶ谷です。」
『……』
「えっ〜ぇ、豊沢先生が!?」
『……』
「あっ、そう。じゃあここで待ってるよ。」
龍次の慌てぶりに、一休さんが尋ねた。
「どこから?」
「事務室から。」
「豊沢先生って?」
「発明革命家の豊沢豊雄(とよさわとよお)先生が来るって!」
「あの豊沢先生が!?今、ここに?」
「そうらしいよ。」
一休さんの妻の明子が尋ねた。
「国会衆院議員にもなって活躍した、今では当たり前になってる、著作権登録を最初に考案し、発明を大衆化した革命的先導者の豊沢豊雄(とよさわとよお)先生が、ここに来るの!?」
「そうらしい。」
「著作権は、自然に発生するものだけれど、誰も証明してくれなかったわ。それを、二千円で登録できるようにしたわ。革命的な素晴らしいことだわ。」
「それで困っている連中もいたけどもね。」
「特許権で、数十万がっぽり稼いでいた連中ね。」
「そう。」
「豊沢先生を、詐欺だのペテンだのと騒いでた連中ね。」
「そう。自分たちの収入が減るから。」
「特許権と著作権は違うのにね。」
「著作権だけで済むものもあるからだよ。その分、収入が減るだろう。」
「それが、ペテンになるわけ?」
「そうやって、自分たちの立場を正当化してるんだよ。」
「発明を大衆化し藍綬褒賞受賞(らんじゅほうしょうじゅしょう)した、豊沢先生の悪口を言うなんて、日本人の敵だわ。許せないわ!」
明子は、豊沢豊雄(とよさわとよお)先生の熱心なファンだった。明子の質問に答えているのは、龍次だった。
「だわ、じゃなくって、だった。」
「今でも騒いでる連中がいるわ。」
その質問には、一休さんが答えた。
「ケツの穴の小っちゃい、時代錯誤の連中だな〜。」
聞きなれない動力音が聞こえ、奇妙なクラクションが鳴った。
三人は、出て行った。大きな直径三メートルほどの、銀色の球体が止まっていた。球体の一部が割れ、豊沢先生が、右手を上げ、にこにこしながら出てきた。
「よ〜〜〜、久しぶり、諸君!」



← 前の回  次の回 → ■ 目次

■ 20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ トップページ
アクセス: 31446