龍次の携帯電話(セルフォーン)が、ロ〜レンロ〜レンと鳴った。 「はい、保土ヶ谷です。」 『……』 「えっ〜ぇ、豊沢先生が!?」 『……』 「あっ、そう。じゃあここで待ってるよ。」 龍次の慌てぶりに、一休さんが尋ねた。 「どこから?」 「事務室から。」 「豊沢先生って?」 「発明革命家の豊沢豊雄(とよさわとよお)先生が来るって!」 「あの豊沢先生が!?今、ここに?」 「そうらしいよ。」 一休さんの妻の明子が尋ねた。 「国会衆院議員にもなって活躍した、今では当たり前になってる、著作権登録を最初に考案し、発明を大衆化した革命的先導者の豊沢豊雄(とよさわとよお)先生が、ここに来るの!?」 「そうらしい。」 「著作権は、自然に発生するものだけれど、誰も証明してくれなかったわ。それを、二千円で登録できるようにしたわ。革命的な素晴らしいことだわ。」 「それで困っている連中もいたけどもね。」 「特許権で、数十万がっぽり稼いでいた連中ね。」 「そう。」 「豊沢先生を、詐欺だのペテンだのと騒いでた連中ね。」 「そう。自分たちの収入が減るから。」 「特許権と著作権は違うのにね。」 「著作権だけで済むものもあるからだよ。その分、収入が減るだろう。」 「それが、ペテンになるわけ?」 「そうやって、自分たちの立場を正当化してるんだよ。」 「発明を大衆化し藍綬褒賞受賞(らんじゅほうしょうじゅしょう)した、豊沢先生の悪口を言うなんて、日本人の敵だわ。許せないわ!」 明子は、豊沢豊雄(とよさわとよお)先生の熱心なファンだった。明子の質問に答えているのは、龍次だった。 「だわ、じゃなくって、だった。」 「今でも騒いでる連中がいるわ。」 その質問には、一休さんが答えた。 「ケツの穴の小っちゃい、時代錯誤の連中だな〜。」 聞きなれない動力音が聞こえ、奇妙なクラクションが鳴った。 三人は、出て行った。大きな直径三メートルほどの、銀色の球体が止まっていた。球体の一部が割れ、豊沢先生が、右手を上げ、にこにこしながら出てきた。 「よ〜〜〜、久しぶり、諸君!」
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