集会所の方から、小さな気球のようなものが、ゆらゆらと飛んで来た。それは、小さな気球だった。一休さんが、その気球を追いかけていた。 「ヨコタ〜〜ン!紋次郎〜!その気球、取ってくれな〜い!」 ヨコタンと紋次郎は、気球を追いかけ始めた。地上三メートルくらいを飛んでいたので、いくらジャンプしても取れなかった。一休さんがやってきた。 「あ〜〜〜あ、風に流されちゃう!」 ヨコタンは、追うのを諦めて戻ってきた。 「どんどん、登ってますよ。取れませんよ。」 紋次郎も戻って来た。 「取るのは、とても不可能です。」 ヨコタンは興味津々だった。 「何ですか、あれ?」 「ミニ熱気球。」 「熱気球?」 「ろうそく熱気球。」 「ろうそくで飛んでるの?」 「ああ。」 「それは素晴らしい!」 急に風が無くなり、気球は真上で光っていた。 「どうして光っているんですか?」 「熱発光塗料が塗ってあるんだよ。」 ろうそく熱気球は、まるで火の玉のように、ゆらゆらと真上で踊っていた。 「紐で遠くに飛ばないようにしておけば?」 「そうだねえ…」 「何に使うの?」 「精霊流(しょうろうなが)しってあるでしょう?」 「さだまさしの歌の?」 「そうそう。」 「あれを?」 「そう、あれを。」 「どこに流すんですか?」 「空に。」 「空に?」 「でも、ここは山だから、許可が難しいかもね。」 「ろうそくですからねえ…」 「着地すると、自動消火するように改良しようと思っているんだよ。」 「な〜るほど。さすが、一休さん。」 「大したことじゃないよ。」 「空のしょうろう流しねえ…」 「たくさん飛べば、きっと綺麗だよ。」 ヨコタンは、少し間をおいて質問した。 「精霊流(しょうろうなが)しって、何なんですか?」 「亡くなった人の霊を船にのせて海に流す行事だよ。死者の魂を弔って送る行事だね。」 「ふ〜〜ん…」 「なあんだ、知らなかったの?」 「なんとなく、そういう感じでは理解してました。どこが有名なんですか?」 「やっぱり、 毎年八月十五日に行われる長崎かな?長崎以外のところでは、精霊流(しょうろうなが)しって言わないで、灯籠流(とうろうなが)しって言うらしいけどね。」 「詳しいんですね。」 「この前、インターネットで勉強したんだよ。」 「なあんだ。」 また風が吹いてきた。ろうそく熱気球は、ゆらゆらとログハウスの方に向かって飛び始めた。
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