きょん姉さんは、ふと二段ベッドの上の天井に目をやった。 「来たときから気になっていたんですけど、ベッドの上のガラスは何ですか?」 アニーは、そのベッドの一段目に寝ていた。 「星空を見る窓です。」 「星空を見る窓?」 「天井が開いて、星空が見えるんです。」 姉さんは、ガラスを指差した。 「ここの天井がですか?」 「はい。上のベッドにスイッチがあるんです。」 「えっ!?」 姉さんは、ベッドに近づいてスイッチを探した。 「壁にあるでしょう、星のマークのボタンが。」 「あっ、あります、あります!」 「それを押すんです。」 「今、押しても大丈夫ですか?」 「大丈夫です。」 姉さんは、手が届かなかったので、ベッドの上に登った。スイッチを押した。 木の天井が開いた。 「うわ〜〜〜、空が見えるわ!」 「でしょう。」 「わ〜〜〜、いいわあ、これ。」 「今晩は、いい夜空じゃないかな〜?」 姉さんは、天窓を閉め、ベッドを降りた。 「早く寝ようっと!」 福之助が姉さんの顔を見た。 「星なんか見たって、お腹は膨れませんよ?」 「どういうこと?」 「食いしん坊には、無駄じゃあないんですかねえ?」 「なんだって!?」 「失礼しました!」 高野山の鐘が鳴っていた。壁時計は、六時を指していた。 「姉さん、ニュースの時間です。テレビを点けますか?」 「どうせ、猿人間のニュースだろう。後で見るからいいよ。」 「はい。」 姉さんは、ふと窓の外を見た。キャンピングカーが走っていた。 「あっ、キャンピングカーだ!」 アニーは、携帯電話でメールを見ていた。 「近くに、キャンピングカーの駐車場があるんですよ。」 「ああ、そうなんですか?」 「ニュースでやってましたよ。キャンピングカーのニュースを。最近、流行ってるんですって。」 「キャンピングカーか〜〜〜、いいなあ〜。」 福之助も大いに同意した。 「それはいいなあ〜〜、こんな仕事なんか辞めて、旅に出ましょうよ。」 「何言ってんだ、おまえ?」 「真っ赤な冗談ですよ〜〜!」 「真っ赤な冗談?おまえ、その日本語、おかしいよ。」 「ああ、そうですか?」 「プログラムの修正が必要だな。」 「はい、修正しておきます!」 「福之助、高野山の地図を持ってきてよ。」 「はい。」 福之助は、地図を持ってきて姉さんに渡した。 「はい。」 「電気を点けて、カーテンを閉めて。」 福之助は、電気を点けてから、カーテンをアルミの手を閉めようとした。 「あれ?なんですか、あれは?」 姉さんは、振り向いた。 「棺桶みたいなの運んでいます。」 「棺桶?」 姉さんは、見にやってきた。 「ほんとだ、何だりうねえ?」 アニーが答えた。 「上部が透明になってるやつでしょう?」 「はい。」 「星空簡易ベッドです。」 「星空簡易ベッド?」 「星空を見るベッドです。」 「星空を見るベッド?あれで寝ながら、星空を見るんですか?」 「はい。」 「外で見るんですか?」 「はい。」 姉さんは、想像した。 「面白そうですねえ〜。」 カラスが、カ〜と鳴いた。近くの木にとまって、こっちを見ていた。 「あっ、カラスの平吉だ!あいつ、まだ山に帰ってないのか!?不気味な奴だなあ…」
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