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作品名:高野山 人間村 作者:毬藻

第21回   紋ちゃんは十歳
紋次郎が振り向いた。そして、龍次の前で深く頭を下げた。
「龍次さん、どうもありがとうございました!」
「部屋のこと?」
「はい。」
「気に入ったかな?」
「はい、とっても。」
「同居人も気に入ったかな?」
「ヨコタンさんのことですか?」
「そう。」
「はい、とってもいい人です。」
ヨコタンは、微笑んだ。
「それはよかった!」
「これから、どこに行くんですか?」
「ポンポコリンのとこだよ。」
「あっちこっち大変ですね。」
「まあね。」
龍次は、ヨコタンと紋次郎に手を振った。
「じゃあ!」
龍次は、ポンポコリンのドームハウスに向かって歩き出した。
「ヨコタンさんは、アラ・フォーですか?」
紋次郎の、いきなりの直球な質問に、ヨコタンはびっくりした。
「失礼ねえ〜!と言いたいところなんだけど、そうよ。」
「ずいぶんと若く見えますねえ。」
「ま〜た、またまた、お世辞言っちゃって!」
「お世辞じゃありません。」
「何歳に見える?」
「肌年齢でいいですか?」
「肌年齢?」
「わたしの目は、肌年齢を識別できるんです。」
「え〜〜〜、そうなの?」
「肌年齢は、二五歳です。」
「ほんと!?」
「ほんとうです。」
「わ〜〜〜、嬉しい〜〜!」
ヨコタンは、紋次郎に飛びついて、ジュラルミンのポッペに、キッスをした。紋次郎は、びっくりした。
「わぉ!」
「わぉ?」
「ヨコタンさんは、どうして結婚しないんですか?そんなに美人なのに?」
「あなたって、質問が直球ね!」
「いけませんか?」
「もう少し、遠慮して質問してよ。それに、わたしは女性よ。」
「…やっぱり、わたしは未熟なんですね。心が未熟なんですね…」
「そんなこと言ってないわ。」
「あ〜〜あ、まだまだ駄目だなあ〜。」
「わたしって、美人?」
「はい、その顔の各パーツの色と形とバランスは、九十二の美人です。」
「九十二の美人?」
「美人顔指数です。」
「そんなのがあるの?」
「はい。」
「紋ちゃんは、何歳なの?」
「わたしは、十年五ヵ月二七日です。」
「ってことは、十歳かあ。ずいぶんと、大人びた十歳だね。」
「ロボットですから、誕生したときから、こうなんです。」
「そういうことか。」
「人間は、結婚できていいですね。わたしは、一生結婚なんかできません。」
紋次郎は、そっぽを向いていた。
「そうねえ〜、紋ちゃんとだったら、結婚してもいいわ。」
紋次郎は目を開いて、びっくりした。
「え〜〜〜〜〜〜!?」


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