次の日の朝が、アサ〜〜〜〜っとやって来た。六時だった、福之助は胸のスピーカーから目覚ましの音楽『ロックロブスター』を鳴らしてやってきた。姉さんは、直ぐに目を開けた。 「うっるさいね〜〜、その音楽!もっとソフトなのはないのかよ〜〜!」 「それだと、起きません。」 「わたしは、そんな鈍感じゃないよ!」 アニーも目を覚ました。「もっと、スローテンポなのないの?」 「スローテンポですか、じゃあリクエストがあったら言ってください。変えておきます。」 「人間はロボットじゃないんだからね。急には目覚めないの。」 「分かりました。」 二人は、スローモーションを見てるかのように起き上がった。 「コーヒーにしますか?紅茶にしますか?緑茶にしますか?」 「朝は、血糖値が落ちてるから、砂糖の入ったコーヒーでいいよ。」 「福ちゃん、わたしもそれでいいわ。」 「はい、分かりました。」 姉さんは、洗面所に行き、うがいをして戻って来た。アニーも同様に戻って来た。 「あれ?歯磨きはしないんですか?」 「甘いコーヒーを飲んで血糖値を上げて、脳細胞を元気にしてから。」 「わたしも、同じ。」 「人間は、色々と大変ですね〜。」 二人は、まだまだ動きが緩慢だった。 「角砂糖は、いくつ入れますか?」 「二個!」「わたしも、二個!」 「はい。」 姉さんは、テーブルの前に座り込んだ。アニーはトイレに行った。 福之助はコーヒーを置いた。 「ありがとう。」 アニーが戻ってきて、姉さんと対面側に座った。「福ちゃん、ありがとう。」 福之助が気遣った。「気分はどうですか?」 「とってもいいわ。大丈夫!」 「それは良かった。」 姉さんもアニーも、味わうようにコーヒーを飲み始めた。姉さんは、リモコンでテレビを点けた。チャンネルは、高野山テレビになっていた。ちょうどニュースをやっていた。
昨夜零時頃 天軸山上空に 二日前と同じような緑色の光る物体が現れました その物体は あっと言う間に カミナリと共に消えて無くなったそうです
「昨夜の球体だわ。深夜に帰って来たんだわ。」 「ユーフォーサンダーですね。」 「じゃあ、やぱり同じ人が乗ってたのかしら?」 「その確立は、大ですね。」 「アニーさん、昨夜のユーフォーは夢ではなかったんですよ。」 「分かってます。」 姉さんは、コーヒーを飲み終えると元気になった。トイレに行き、寝てるときに溜まった尿を出すと、台所に行き、水を一息で飲み干した。パジャマのままで「体操をしてくる!」と言い残して、颯爽と出て行った。福之助は驚いた。 「わお〜〜!」 姉さんは、バーベキュー広場の芝生の上で、奇妙な紅流の体操をやっていた。アニーは、まだコーヒーを飲んでいた。窓の外の姉さんを見ながら。 「元気いいわね〜〜。」 「いつも、あの調子なんです。急に元気になるんです。朝食の前は、必ず体操をするんです。」 アニーも立ち上がった。 「わたしもやってこよ〜〜っと!」アニーも出て行った。
「いい空気ですね〜〜〜!」 「アニーさんもやるんですか?」 「はい。教えてください。」 「紅流ですか?」 「はい。」 「じゃあ、わたしの真似をしてください。」 「はい。」 鎌田が近くの遊歩道を歩いていた。 「あっ、鎌田さんだ!」 鎌田が二人に声をかけた。 「おはようございます!体操ですか?」 「はい!」 鎌田がやってきた。 「変わった体操ですねえ?」 「紅流なんです。」 「それは素晴らしい!わたしにも教えてくれませんか?」 「いいですよ。わたしの真似をしてください。」 三人は、紅流の体操をやり始めた。時々、型を決めながら。 「テヤ〜!」「テヤ〜!」「テヤ〜!」 姉さんは、体操の終わりに新しい型を披露した。 「両手を胸で合わせて〜〜、合掌!高野槙マキ〜!と言ってください。」 「高野槙マキ〜!」「高野槙マキ〜!」 「そのまま、両足を根を張るように楽に開いて、合わせた両手をゆっくりと高野槙の枝のように天に伸ばしま〜〜〜す!」 二人は真似をした。 「高野槙のように〜〜天高く〜〜!…頂点まで達したら、深呼吸しながら、ゆっくりと両手を降ろしま〜す!」
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