きょん姉さんとアニーは、懸命にログハウスに向かって走っていた。真由美が窓を開けて雨を見ていた。二人が走っているのを発見して手を振っていた。 「がんばれ〜〜〜!」 二人は、真由美に手を上げながら走っていた。二人は、ログハウスに着くと急いで入って行った。福之助はびっくりして振り返った。台所で後片付けをしていた。二人は、濡れた上着をハンガーにかけた。 「どうしたんですか?」 姉さんが答えた。「雨が降ってきたんだよ。」 「雨ですか。」 「水をくれ!」「わたしも。」「はい!」 福之助は、急いでコップに入れて持って来た。 「はい!」二人に手渡した。 二人は「ありがとう。」と言って、壁際のソファーの椅子に座った。 福之助は、タオルを二枚持って来た。 「髪の毛が濡れてますよ。風邪を引きますよ。」 二人は「ありがとう。」と言って受け取った。アニーが水を飲んだ後、咳をした。福之助が心配した。 「肺炎になったら大変ですよ。」 姉さんが眉をひそめた。「そう簡単に、肺炎なんかになるか!」 「用心したほうがいいですよ。風邪気味の方は。」 「あんた、お医者さんみたいだねえ?」 「そうですか?」 「福ちゃん、ありがとう。気をつけるわ。」 「明日の朝食の用意をします。日本食にしますか、洋食にしますか、フランス料理にしますか?」 「フランス料理?おまえにできんのかよ?」 「出来ますよ、フレンチトースト!」 「なあんだ、それか!」 「朝食は一日の活力!健康なカラダをキープするためにも、早寝、早起き、朝ごはんの生活習慣を身につけましょう〜!」 「おまえは、料理の先生か?」 「じゃあ、卵かけご飯と味噌汁でいいですか?」 「なんだ、それがけ?一日の活力がそれだけかよ?」 「トマトとツナのサラダに、たまご雑炊(ぞうすい)はどうでしょう?」 「たまご雑炊(ぞうすい))?」 「器にご飯をよそい、インスタントのふんわりたまごスープをのせて熱湯をそそぎ、軽く混ぜ合わせて、はいできあがり!」 「じゃあ、それでいいよ。」 アニーも「福ちゃん、それでいいわ。」と言った。 「はい、分かりました。」 雨が屋根を叩いていた。 「なんだか、本降りになってきましたね〜。」 姉さんは、カーテン越しに窓の外を見ていた。 「明日の朝は大丈夫かしら?」 福之助が「天気予報では、晴れと言ってました。」 「ああそう。それは良かったわ。」 「歯を磨いて、パジャマに着替えて、早く寝ましょう。」 「はい。」 二人は、パジャマに着替え、歯磨きを終えると、ベッドにごろんと転がった。姉さんが、福之助を呼んだ。「福之助、今晩も見張りを頼むよ。」 「え〜〜、また起きてるんですか?」 「頼むよ朝まで。おまえが起きてると安心するんだよ。」 「はい、分かりました。姉さんの補佐をするのが役目ですから。それに、起きてるだけなら、エネルギーも消費しませんから。」 「ありがとう、感謝するよ。」 「じゃあ、部屋の灯りは消してもいいですか?」 「小さいのを点けといて。」 「はい。」 「じゃあ、頼むな!」 「はい。お休みなさい!」 「お休み!」 アニーも「お休みなさい〜!」と言った。 雨が、まるで今日を洗い流すように降っていた。床に正座で座った福之助の目だけが動いていた。 姉さんが「福之助!」と呼ぶと、福之助が小さな声で「ここにいます。」と答えた。姉さんは、福之助を見ると安心して、目を閉じた。福之助のセンサーは、ビンビンの警戒モードになっていた。
|
|