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作品名:高野山 人間村 作者:毬藻

第175回   アニー復活!
「この山ぶどうジュース、美味しいな〜。」
きょん姉さんは、山ぶどうジュースを電子レンジで温めて飲んでいた。福之助が隣に座って見ていた。
「そのジュース、くせになって、やばいんじゃないですか?」
「やばい?別にやばくはないよ。毒じゃないよ。」
「やばいってのは、とってもグッドという意味です。」
「なんだって?」
「非常に美味しいという意味です。」
「まるっきし逆じゃないかよ。」
「最近は、そういう意味で使われているんです。」
「また〜〜〜?」
「ほんとうです。」
「わたし、暇なもので、ず〜〜っとテレビを見てたんです。そう言ってました。」
「ほんとかよ〜。」
「言葉は、日々変わってるんですね。言葉は生きているんですね。」
アニーが起き上がった。そして歌いだした。
「ボキャブラはみんな生〜きている〜♪」
姉さんがが「ボキャブラって何?」と福之助に尋ねた。
「ボキャブラリーのことじゃないんですかね〜。語彙(ごい)のことです。」
「じゃあ、アニーさん、駄洒落を言ったんだ〜!?」
「酔うと、水平思考が働くんですね〜〜。」
「アニーさんが、駄洒落を言うなんて、初めてですね〜。」
アニーは、君子豹変するように、きりっとした顔で起き上がった。
「もう、酔いは覚めました。」
姉さんは、きょとんとしてアニーを見ていた。
「福ちゃん、ポカリスケットある?」
「そんなものはありません。」
「わ〜〜、面白い!」
「じゃあ、わたしにも山ぶどうジュースをちょうだい。炭酸水を入れてちょうだい。」
「はい!」
「アニーさん、もう酔いは覚めました?」
「はい、覚めました!まだちょっと変な駄洒落がでてきておかしいですけど。」
「そうですね。」
「酔いは、脳の機能が、エチルアルコールによって抑制される症状です。脳の麻痺です。」
「はい!」
「脳の麻痺は、大脳の麻痺から始まるため、判断力、集中力、抑止力等が低下する。その結果、脳の本能的と呼ばれる機能が軽い興奮状態となり、気が大きくなったり、気分が良くなったりする酒酔い状態となります。」
「でも、わたしは、気分が悪くなるんですけど?」
「それは、アセトアルデヒドによる症状です。」
「アセトアルデヒド?」
「体内でアルコールを分解するできる有毒物質です。これが血中に蓄積されると心拍数の増加、嘔吐などの状態が引き起こされます。この症状が現れる人と現れない人がいるんです。」
「じゃあ、それだわ、わたし。」
「お気の毒です。」
「二日酔いは?」
「アセトアルデヒドによるものです。二日酔いの状態では脳がむくんでいます。」
「だから、頭が痛いんだ?」
「そうです。」
姉さんと話してるうちに、アニーは極めて正常に戻っていた。福之助が、炭酸入り山ぶどうジュースを持って来た。「はい。」
「どうもありがとう。」アニーは、姉さんと対面側に座ると、一気に半分ほど飲んだ。「おいしい!」福之助は、なぜか床に正座して座った。
「どうしたの福ちゃん、そんなところに座って?」
「わたしは、ここでいいんです。」
「脚が辛いでしょう?」
「ちっとも辛くなんかありません。」
「そう?」
アニーは立ち上がった。そして福之助の肩を揉み始めた。
「今日は、お疲れ様!大変だったわね。あれ、こちこちだわ!」
「こちこちって、わたしはロボットですから。いくら揉んでも柔らかくはなりません。」
「あ〜〜、そうだったわねえ〜〜。」
「アニーさん、変ですよ?」
「まだ少し酔ってるのかしら?あ〜おかしい!」
アニーは、再び座った。
「アニーさん、さっき変なこと言ってましたよ。」
「えっ?」
「ユーフォーが、鬼の大台ケ原に飛んで行った、とか。」
「そうですか?」
「まったく覚えてません?」
「…言ったような気がします。」
アニーは壁時計を見た。
「あら、もう九時だわ。けっこう寝たんですね〜」
「はい。」
「わたし、酔うと眠くなってくるんですよ。」
「いいですね〜。」
「あっ、思い出したわ。」
「えっ?」
「夢の続き。」
「どのような?」
「龍の玉には、名刺の人が乗っていて、大台ケ原でカツ丼を食べるんです。」
「それは面白い夢ですね〜〜。」
「葛城さん、お風呂に入ったんですか?」
「はい。」
「とってもいい匂いがするわ。私も入ろうっと!明日は早いし。」
「明日は何時に起きるんですか?」
「六時に起きましょう。」
「はい!」


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