突然、上空が光った。みんなは上空を見上げた。緑色の発光体が飛んでいた。 「なんだ、ありゃあ!?」 「ユーフォーかしら?」 アニーが「わたし、酔っぱらちゃったみただわ。」と呟いた。 光る物体は、天軸山の上空を円を描いて飛んでいた。 子供たちは、何も言わずに呆然と見ていた。 光る物体は、ログハウス上空で停止すると、何かを確認したようにして東の空に飛んで行った。 「わたし、なんだか酔ったみたい、変なのが見えたの…」 「アニーさん、酔ってなんかいませんよ。わたしも見たんですから、蒲田さんも、子供たちも。」 「あ〜〜〜、確かに見たよ、この目で。」 真由美は不思議な顔をしていた。 「なあに、あれ?」 沙織も同様な様子だった。 「なんなの、あれは?」 みんなは、気味が悪くなった。鎌田が慌てて、みんなに言った。 「芋煮パーティは、これで終わりにしましょう!」 「そうですね、なんだか気味が悪くなってきましたね。」 アニーは、まだ空を見ていた。 「アニーさん、さあ帰りましょう!」 「みんなも帰ろう!」 姉さんは、鎌田に挨拶した。 「どうも、ご馳走様です!とっても美味しかったです。今度、またゆっくりと、お話を。」 「はい、こちらこそ。」 みんなは、庭から出て行った。二羽のウサギが見送りに来たように近づいてきた。 真由美がウサギに「ウサギさん、またね〜〜!」と言っていた。 鎌田が慌てて出てきた。 「沙織ちゃん、ちょっと待って!」 「はい。」 鎌田は、オート姿勢制御の並列二輪モーターバイクのセグウェイに乗って現れた。子供たちは、ダチョウのリアカーに乗っていた。真由美は大事そうに鍋を持っていた。蓋が洗濯挟みで動かないようにしてあった。 「熊が出ると大変だから、牧場まで送っていくよ。」 「大丈夫です。」 「大丈夫じゃないよ。事故でもあったら、お父さんにしかられるよ。」 鎌田は「じゃあ、行こう!」と言って走り出した。ダチョウのリアカーも走り出した。 姉さんは「今日は、ほんとうに、ありがとうございました〜!」と言って歩き出した。アニーは酔っているのか、鎌田に手だけ振っていた。「さあ、アニーさん、帰りましょう!」姉さんは、左手でアニーの右の二の腕を持っていた。「帰っちゃうの、もう?お姉さま?」 「あらあら、完全に酔ってるわ。」 ログハウスに辿り着くと、姉さんは鍵を開けて入った。福之助はテレビを観ていた。振り向き、立ち上がると、二人に近づいた。 「どうしたんですか?」 アニーが、福之助に抱きついた。 「福ちゃ〜〜〜ん!逢いたかった〜〜!わたし、酔っちゃったの〜!」 福之助は倒れそうになった。 「大丈夫ですか、アニーさん?」 「アニーさん、大丈夫?」 アニーは「大丈夫!」と言って、自分のベッドに倒れ込んだ。
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