隊長は福隊長に命じた。 「早速、三輪のモーターバイクを五十台注文しといてくれ!」 「はい!」 雑用係の女社員が入って来た。 「社長、メリーゴーランドが来ました。」 「こっちに通せ。」 「はい。」 メリーゴーランドが、深く頭を下げて入って来た。 「失礼します!」 「おっ、来たか。ちょうど良かった。ちょっと話しがあるんだ、そこに座ってくれ。」 「はい。」 「今度、新しいことを始めようと思っているんだよ。君たちにも協力してもらおうと思ってね。」 「はい、どのようなことでも。」 「ただ走り回ってるだけじゃあ、退屈でつまんないだろう。少しは、社会に役立つことがしたいだろう?」 「はい、できれば。」 「今、田舎の老人は買い物で困っていることは知ってるだろう?」 「はい知ってます。買い物難民ですね。」 「そうだ。さすがに君は大卒だけあって、インテリだな。そこでだ、君たちに注文を聞いてきて、買い物をやってもらおうと思ってね。」 「いいですよ。」 「山奥の細い道でも大丈夫かね?モーターバイクで頼みたいんだけど?」 「大丈夫です。」 「それと、宅配の仕事もやろうと思っているので、それも頼みたいんだけど?」 「いいですよ、お安い御用です。」 「そうか、それじゃあ、決まったら電話で連絡するから、ちょっと待っててくれないか。」 「はい、分かりました。」 「話はこれだけ、もういいよ。皆にも言っておいてくれ。」 「はい。」 メリーゴーランドは「失礼します!」と言って、頭を下げて出て行った。 「隊長、明日モーターバイクの若者の連中が来ることになっていますが、三輪のバイクが来るまでどうしましょう?」 「先ず、彼らのモーターバイクで、田舎の調査でもやらせよう。地図を持って来てくれ。」 「はい。」 副隊長は、大きな地図を持って来て、テーブルの上に広げた。 「けっこうあるな〜〜〜。」 「そうですね〜。」 「取り合えず、われわれの近くからやるか、日本全国ってわけにはいかないからな。」 「五十台では、とても無理ですよ。」 「そうだな…、とても無理だな。」 「集めてきた野菜は、どこに集めましょう?」 「そうだな、取り合えず、駐車場にテントを張って、そこに集めよう。」 「それはいい考えですね。」 「ほんとうに、無料でいいんですか?」 「田舎の、やっと暮らしてる老人に、余分な金はないだろう、無料でいいよ。我々の目的は金儲けではない。我々には猿のように、弱いものをいじめる習性はない。」 「はい。」 「金のある老人からは、金を取れば、それでいい。」 「はい。隊長は、地球人の味方か敵か分かりませんな〜。」 「簡単に分かっちゃあ、駄目なんだよ。味方に見せるんだよ。」 「な〜〜〜るほど!」 「陽動作戦ってやつだよ。」 「ようどうさくせん?」 「そんなことも知らんのか、管理職が?」 「はい、すみません。」 「わざと目立つような行動をして敵の注意をそらし、本当の作戦を悟られないようにすることだよ。」 「つまり、カモフラージュ?」 「そういうこと!」 「つまり、買い物も宅配もカモフラージュってことですね?」 「そいうこと!」 「誰に対してのカモフラージュなんですか?」 「おまえアホか、地球人に決まっているだろう。」 「でも、結果的に地球人を救っていますけど?」 「だ〜〜から、カモフラージュなんだよ!」 単純明快思考のな副隊長には、少し理解できなかった。
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