龍次が、竹箒を持って掃除しながら掃除の監督をしていると、高野町の町長がやってきた。町長は腕を組み難しい顔をしていた。気になって、龍次は声を掛けた。 「町長、昨日はどうも!」 「やあ、保土ヶ谷さん、こんにちわ。」 町長は、龍次に声を掛けられて、初めて龍次に気が付いた。 「どうしました?何か悩み事でも?」 「ちょっとね…」 「何かあったんですか?」 「実は、高野町でも高齢化が進んでいましてねえ。」 「はい、知ってます。」 「何か、いいボケ対策はないかと思いましてね。」 「あ〜、そういうことを…」 「何か、頭を刺激する、いいアイデアはありませんかねえ?」 「そうですねえ…」 近くにはショーケンがいた。話を聞いていた。 「町長、こんにちわ。昨日はどうも。」 「こんにちわ、ショーケンさん!」 「龍次さん、発明ってのは、どう?」 龍次は、昨夜のことを思い出した。 「発明ねえ、町長、発明会ってのはどうでしょう?」 「発明ですか?そういう難しのはねえ、ちょっと…」 「発明っていっても、日常生活の実用新案程度のもので、大げさなものではなくって、ちょっとしたアイデア程度のものですよ。」 「アイデア程度ねえ…」 「物ではなくっても、何でもいいんですよ。考え方や生き方なんかでも。」 「そういうことですか…」 「弘法大師も発明にも才能があったというし、いいんじゃないですか?」 「そうですねえ…、でも私は、発明とかに関しては、まったくの素人ですからねえ。」 「あっ、そうだ!いいところを紹介しましょう。」 「そういうところがあるんですか?」 「発明学会です。」 「あ〜〜、豊沢先生の?」 「あ〜〜、ご存知で?」 「テレビで見てましたよ。アイデア買いますという番組だったかな?」 「そうです、そうです。」 「今、豊沢先生は?」 「昨夜、人間村に来たんですよ。」 「えっ!?」 龍次は、携帯電話を取り出した。 「三重のユーモア発明研究所にいるはずです。」 龍次は、電話をかけた。 「えっ、何ですって!?」 「どうしたんですか?」 龍次は電話を切った。 「どうしたんですか、保土ヶ谷さん?」 龍次は、血のひいた少し青い顔をしていた。 「豊沢先生は、今年の二月十一日に亡くなられたそうです…」 ショーケンも驚いた。 「え〜〜〜!?じゃあ、昨夜見た人は誰〜?」
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