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作品名:高野山 人間村 作者:毬藻

第131回   発明学会の豊沢先生
龍次が、竹箒を持って掃除しながら掃除の監督をしていると、高野町の町長がやってきた。町長は腕を組み難しい顔をしていた。気になって、龍次は声を掛けた。
「町長、昨日はどうも!」
「やあ、保土ヶ谷さん、こんにちわ。」
町長は、龍次に声を掛けられて、初めて龍次に気が付いた。
「どうしました?何か悩み事でも?」
「ちょっとね…」
「何かあったんですか?」
「実は、高野町でも高齢化が進んでいましてねえ。」
「はい、知ってます。」
「何か、いいボケ対策はないかと思いましてね。」
「あ〜、そういうことを…」
「何か、頭を刺激する、いいアイデアはありませんかねえ?」
「そうですねえ…」
近くにはショーケンがいた。話を聞いていた。
「町長、こんにちわ。昨日はどうも。」
「こんにちわ、ショーケンさん!」
「龍次さん、発明ってのは、どう?」
龍次は、昨夜のことを思い出した。
「発明ねえ、町長、発明会ってのはどうでしょう?」
「発明ですか?そういう難しのはねえ、ちょっと…」
「発明っていっても、日常生活の実用新案程度のもので、大げさなものではなくって、ちょっとしたアイデア程度のものですよ。」
「アイデア程度ねえ…」
「物ではなくっても、何でもいいんですよ。考え方や生き方なんかでも。」
「そういうことですか…」
「弘法大師も発明にも才能があったというし、いいんじゃないですか?」
「そうですねえ…、でも私は、発明とかに関しては、まったくの素人ですからねえ。」
「あっ、そうだ!いいところを紹介しましょう。」
「そういうところがあるんですか?」
「発明学会です。」
「あ〜〜、豊沢先生の?」
「あ〜〜、ご存知で?」
「テレビで見てましたよ。アイデア買いますという番組だったかな?」
「そうです、そうです。」
「今、豊沢先生は?」
「昨夜、人間村に来たんですよ。」
「えっ!?」
龍次は、携帯電話を取り出した。
「三重のユーモア発明研究所にいるはずです。」
龍次は、電話をかけた。
「えっ、何ですって!?」
「どうしたんですか?」
龍次は電話を切った。
「どうしたんですか、保土ヶ谷さん?」
龍次は、血のひいた少し青い顔をしていた。
「豊沢先生は、今年の二月十一日に亡くなられたそうです…」
ショーケンも驚いた。
「え〜〜〜!?じゃあ、昨夜見た人は誰〜?」


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